Resistance to the False Accusation第19話


「このやろおおおっ!!」

アルツに懐のナイフを投げつけ、そして彼が怯んだ所に飛び掛るクレガー。

この山脈の中では凄く戦い難いが、それは仕方ない。

それでもここでこいつを逃がしてしまえば、この麻薬事件の真犯人を

逃がしてしまうのと変わり無い事になってしまう。

「御前だけは絶対に逃がさない!」


槍を使って、ロングソードのアルツ相手に奮戦するクレガー。

しかし相手も中々の実力者なので気は抜けない。

振りかぶってくる剣を避けて、そのまま槍を薙ぎ払うがこれはガードされる。

そこで一旦距離を取って、槍のリーチを生かしてじわじわと攻める戦法で

行こうとするクレガー。


(こしゃくな……!!)

その戦法に気が付いたアルツは奥歯をかみ締めるが、これは

武器の特性上仕方の無い事である。

(それにしても、俺と互角に遣り合える程の奴が居るとはな!)

アルツは騎士団の中でも腕の立つ団員として知られているのだが、

目の前のクレガーはそんな自分と互角に戦っているのだ。


それでも、どちらもこの勝負で負ける訳には行かない。

1人は自分の利益の為、そしてもう1人は王国の平和の為に戦う。

槍を突き出してじわじわ攻めるクレガーであるが、

それでもアルツは怯む事無くロングソードで対抗する。

「はっ!」

ロングソードを突き出し、槍の振り払われた瞬間を狙うアルツ。

それを肩を掠める様にギリギリで避けるクレガー。

勝負としてはまったくの互角であるが、いずれ決着が着く時は必ず来る物だ。


(余り体力を消耗させるのもまずいな。向こうでもまだ隊長達が

戦っているから、俺も加勢しに行く必要があるかもしれないしな!)

だったらとにかく、この戦いは終わらせなければいけない。

相手も中々の使い手である事は十分クレガーも承知の上であるが、それでも

人間であるが故にどこかで隙が出て来る筈である。

(こっちから動いてみるか!)


隙を狙って待ち続けるのでは無く、クレガーはその性格からか

自分でアルツの隙を生み出させる様に仕掛けに行く。

「おら、おら、おら、おら!」

息もつかせぬ様な連続突きを仕掛け、そのまま岩壁へと押しやって行く。

「ぐっ!?」

後ろが無い事を痛感したアルツは、槍の突き出して来る軌道をその

動体視力で見極める……のでは無く、しゃがみこんで前へとタックルをかます。

「うあっ!?」


馬乗りになられてマウントポジションを取られてしまうクレガーだが、

槍から一旦手を離してアルツの頭を掴んで思いっきり頭突き。

「ぐがっ!?」

怯んだ所で両足で蹴り上げ、何とか窮地を脱出し槍を再度手に取る。

そのまま距離を取ってアルツを見据え、見据えられたアルツも

同じくクレガーを見据え返した。


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