Resistance to the False Accusation第18話


ヴェンラトースは老齢のジェディオンと激しいバトルを繰り広げる。

「はあっ!」

「ほあああっ!」

ハルバードを使うヴェンラトースに対して、ジェディオンは両手斧を

使う男。どちらも両手で扱う武器と言う共通点が存在している。

違う所はリーチの長さハルバードは確かに一般的なロングソードから

すれば少しだけリーチに分があるが、その分やはりスピードが

落ちてしまうしこのジェディオンの両手斧のリーチにはかなわない。


それでも、取り回しの良さで比べて見ればハルバードの方が2つの

武器を組み合わせている分両手斧よりも良いのは確かな事実である。

2人の戦い方を見てみても、パワーでなぎ倒そうとするジェディオンと

スピードで対抗するヴェンラトースのバトルになっている。

だが、このバトルにはジェディオンが気が付いていない落とし穴が

存在している事をヴェンラトースは知っていた。

(あの欠点を上手く活かす事が出来れば、俺にも勝機はある!)


問題はそれを如何にかしてジェディオンに気が付かせない様に

するかであるが、それは今のまま戦う方が1番良いだろう。

下手に動けば作戦があるのかと警戒されるかもしれないからだ。

(大丈夫。俺も経験を積んで来たんだ。勝てない相手ではない!)

バトルの時に重要なのは自分の技術に自信を持つ事であり、自分の技術に

不安を感じたらもうその時点で勝負は負けなのだ。

(俺は自分の技術に自信があるからこそ、この勝負も勝ってやる!)

そう考えて、ジェディオンの両手斧の攻撃を受け流しつつ積極的に

攻める様にして行くヴェンラトース。


「くっ!」

ジェディオンはそのヴェンラトースの攻撃スタイルの変化に戸惑いつつも、

何とか攻撃を受け流し、止めてから反撃に出る。

(武器の長さはこっちが上だ。これを利用して相手の疲れを待つ!)

ジェディオンは持久戦に持ち込んで、ヴェンラトースが疲れるのを待つ

作戦に出る。この年齢になっても軍人である以上、若い者にはまだまだ

負けないと日々身体を鍛えまくっているので、相手のヴェンラトースが

疲れた所で仕留める考えだ。


(……ん? 戦い方を変えて来たか?)

その微妙なジェディオンの変化に気が付いたヴェンラトース。

(まずいな。疲れは判断力や攻撃力、瞬発力を鈍らせる原因になる。

ここはあの作戦じゃなくて、一気に決める方向で行くとしよう)

さっき迄自分が考えていた作戦を中止して、ヴェンラトースはまた別の

違う作戦で行く事にする。


作戦としてはこうである。積極的に攻撃を仕掛けるのは同じだが、

その攻撃力に違いがあるのだ。ハルバードの持つ斧の部分のパワーを

活かして積極的に攻撃を仕掛け、先程よりも力強く両手斧の柄に

向かって剣を叩きつける。

「ぐっ……」

ジェディオンはそれに耐え切れずにバランスを崩してしまった。

(今だ!)


その隙を見逃さなかったヴェンラトースは、ハルバードの持つパワーと

自分の持つパワーを最大迄ミックスさせてジェディオンの両手斧の

柄に向かってハルバードを振り下ろす。するとガッ、と鈍い音がして

両手斧の柄が2つに切断されてしまった。

「何!?」

動揺するジェディオンは隙だらけ。それはヴェンラトースにとっては

最大のチャンスなので、一気にジェディオンの横を通り抜けつつ

彼の身体を斬り裂いた。

「がはっ……」

斬り裂かれたジェディオンは力無く仰向けに倒れこみ、絶命する。

それを哀れみの目で見下ろすヴェンラトースが、その横に立っていた。


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