Resistance to the False Accusation第17話


山脈で奮闘するガラムは、自分の大切な弟子をはめた

麻薬組織の一員であり、ブローカーとしての役割を持つサルインと勝負していた。

ガラムの武器はロングソードと短剣で、サルインの武器は槍だ。

槍の方がリーチが長く滅多な事では近付かれ難い。ただし二刀流はその

手数が物を言うので、そこに勝負をかけようとガラムは考える。

(俺も元王国騎士団員だからな。このヴィ−ンラディへ災厄をもたらす奴は断じて

見逃す訳にはいかない! それが俺の弟子をはめた奴だとすれば尚更なんだ!)

ガラムをはめた事への怒りもあるが、かと言って熱くなっては周りが見えなくなってしまう。

ここは心の中で怒りを燃やし、とにかく目の前のサルインを片付ける事だけを考えるガラム。


しかし、サルインも中々の実力者なので侮れない存在だ。槍のリーチを的確に理解し、

攻撃をせずに二刀流をしっかりとガードしてガラムが疲れるのを待っているかの様な

戦い方をして来るのである。

(俺も考えない馬鹿では無いんでね)

的確にガラムの攻撃をガードし、隙を見て槍を突き出す。そしてまたガードすると

言う様なヒットアンドアウェイ戦法になっている。


この戦法はだんだんガラムをイライラさせて来ていた。

(な、何だこの戦法は……。凄い頭に来るぞ)

しかしさっきの怒りを静める為の方法を思い出してグッとこらえ、これを

逆にチャンスにする方法を考える。

(落ち着け……落ち着け……。俺の二刀流は長さが槍より短いけど、

その分手数と破壊力がある。だったらその破壊力を武器にすれば良いんだ。

それじゃあどうやってやる? 何処に攻撃を仕掛ければこいつは

倒れてくれるんだ? 人間が倒れ易い所……それは……)


思考を戦いながらひっそりと巡らせ、そしてとある事を思い出した。

(そ、そうだ……)

あの時、クレガーとヴェンラトースから逃げる為に山の中を駆け回り、

そして自分はヴェンラトースと戦った。

その時にヴェンラトースの首に偶然命中した自分のキックにより、

ヴェンラトースは凄く悶え苦しんでいたのだ。

その事を思い出して、必勝法を思いついたガラムはそれを実行に

移す為に行動を開始する。


まずは今迄と同じくサルインの槍を受け止め、そこで槍をもう一方の手で掴む。

「え?」

そのまま渾身の力で槍をずらしたガラムは、サルインの喉目掛けてをロングソードを

素早く突き出した。するとロングソードの先端がサルインの喉に命中する。


「げっ……!?」

それで大きく仰け反って胸を突き出したサルインのその胸に、ガラムは

思いっ切り短剣を振り下ろした。

「はあっ!」

心臓と喉をそれぞれの剣によって突き刺されたサルインは、声を上げる

事も無くがっくりと絶命した。

「や、やったぜ……」

1つの戦いが終わり、ガラムはホッと息を吐いた。


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