Resistance to the False Accusation第16話
シェオルは遠距離用武器として持って来ていた弓を持ち、
同じく弓を使って来るセヴェンと木の陰からの撃ち合いを続けていた。
(向こうはかなりの手慣れだな。だけど、僕だって王国騎士団員に
なってからもガラムさんやピエール副長、そしてジェラルド団長と一緒に
剣や弓の鍛練をして来たんだ。こんな奴を倒せなかったらこの先で
王国騎士団員としてやっていけない!)
相手が正規の騎士団員であれば別だが、セヴェンは他の騎士仲間から
聞いた話によるとまだ見習いの騎士。となれば、自分にも勝てるチャンスが
十分にあるのではとシェオルは心の中で踏んでいた。
そこでとある作戦を思いつくシェオル。だがそれはまだまだ先で使う作戦なので
一旦弓での攻撃を止めて、セヴェンに向かってショートソードを抜いて斬りかかって行く。
「よくも僕をはめてくれたなっ!!」
「さぁ? それは御前の勘違いから始まったんだろ?」
シェオルはセヴェンに飛び掛るが、セヴェンもそんなシェオルを蹴り飛ばして応戦。
そのままバトルに持ち込む。矢を放たれたら不利なので、とにかくショートソードを
振り回してセヴェンに向かうシェオル。
「うおおおおっ!」
だがセヴェンはそれを間一髪で避けつつ、シェオルに足払いをかける。
「うあっ!?」
しかしすぐに立ち上がって再度ショートソードを振るい、隙を与えない様にする。
(くっ!)
厄介な相手に出会ってしまったなと思いつつ、何とかこの状況を打破しないと
いけないと考えるセヴェン。しかし、懐の短剣を出そうにも今はシェオルの
ショートソードを避けるので精一杯。そこである方法を思いつく。
(これしか無いな!)
背中に背負った矢筒から矢を1本引き抜き、ショートソードを突き出して来た
シェオルの腕をショートソードを避けてからもう一方の手で鷲掴みにする。
「な!?」
そのまま剣を握っている右手目掛けて矢を振り下ろす。
「ぐおあああっ!?」
まさかの攻撃とその痛みにシェオルは悶絶しつつ、ショートソードを
手から落としてしまう。その間にセヴェンは矢を捨てて、懐の短剣を取り出した。
「そらあっ!」
今度は形勢逆転し、自分が短剣を避け続ける展開になってしまったシェオル。
だけど、何時迄もこのままと言う訳にも行かない。
右手は負傷したが、傷は深くなくショートソードを持つのも弓を持つのも
まだまだ大丈夫だ。
(だったら、御前以上の作戦で!)
そう考えたシェオルはセヴェンの短剣を横に転がって避け、そのまま
ショートソードの元にダッシュしてもう1度手に握る。
「ちっ!」
セヴェンは舌打ちをするがもう遅い。今度は短剣とショートソードの
打ち合いになるが、シェオルはセヴェンの短剣をパワーに任せて弾き飛ばす。
「はっ!?」
そのまま何とシェオルはセヴェンに向かってショートソードを投げつけた。
「うおっと!?」
しかし、これこそがシェオルの考えた作戦である。シェオルはショートソードを
投げつけると同時に背中に背負った弓を素早く構え、セヴェンがその
ショートソードを避けるのを見越して矢を放った。
「うがっ……」
その矢はセヴェンの胸に命中し、心臓をしっかりと射抜いていた。
「あっ……がはっ……」
呻き声を上げてセヴェンはゆっくりと地面に倒れこみ、すぐに動かなくなる。
(終わった……)
ようやく戦いが終わった事に、シェオルは思わず息を吐いて笑みを浮かべた。
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