Resistance to the False Accusation第14話
メンバーはそれぞれ散り散りになり、その中で副騎士団長のピエールは
麻薬組織のブローカーであるピンク色の髪の男、エルクを追い掛け回す。
エルクの実力は未知数だが、逃げて行く辺りは実力で敵わないと
判断したのだろうか。
それでも、この事件の黒幕の1人である奴を逃がす訳にはいかないので
ピエールは当然追いかける。
ピエールの走るスピードとエルクの走るスピードは余り変わらないが、
この山脈はデコボコの道であるので走り辛い事この上無い。
ブーツを履いていてもそれは感じる事である。
(走り難いな。だけどそれは相手も同じだ!)
足を動かして、目の前に居るターゲットを追い掛け回すピエール。
思えば、団長のジェラルドはもう1人逃げた奴を追って反対側へと
駆け出して行った。この山脈は1本道。
ピエールがエルクを追いかけているルートは、今迄歩いて来た森へと
逆戻りするルートである。
となれば、ジェラルドは山脈の奥に向かって行ったのだろう。
(早々に決着をつけなければ森へ逃げ込まれてしまうな。そうなったら
どこかに身を潜められてしまう危険性もある。
だからこそ、早めにあいつを捕らえなければ!)
そう考えたピエールは渾身の力を振り絞ってスピードを上げ、
前を走るエルクの背中に飛び掛った。
「このぉ!」
「うおっ!?」
飛び掛られたエルクは前へとつんのめって盛大に転び、ようやく停止した。
しかし、戦いはそれで終わりではなかったのである。
「うらっ!」
「くっ!」
飛び掛かって馬乗りになっているピエールの身体を、腕と足の力を
振り絞って背中で押し上げたエルク。
その衝撃でピエールはバランスを崩して倒れ込んたのだが、倒れた方向は
前へと向かっていたのである。
つまり、森へと続くエルクの逃走ルート上を塞ぐ形になった。
「ちっ!」
エルクは舌打ちをして自分の武器である両手剣を出して構え、
ピエールも大剣を抜いて同時に構える。
「はっ、はっ!」
「らっ!」
カキン、カキンと金属がぶつかり合う音が山に響き渡る。
「うらあああっ!」
エルクはパワーに任せて両手剣をピエールの大剣に押し付けるが、
ピエールは視線をエルクの足元に向け足払いをかます。
「うおっ!」
足を取られて仰向けに倒れ込んだエルクの胸目掛け、
ピエールはその大剣を振り下ろした。
「ぐごっ……」
十字架の様に突き刺さった大剣はエルクの心臓を貫いて、
刺された彼は息絶える。
それを見てピエールは大剣を引き抜き血を払い、残りの
メンバーに加勢するべく山の上に向かって駆け出した。
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