リレー小説第3部第19話


男はいかにも不機嫌そうに舌打ちをすると、左手のステッキをくるくると回しドスっと地面に突き刺した。

すると突き刺したそのステッキを起点に、バゴゴゴゴ!と地面に亀裂が走る。

その亀裂は流斗の足元めがけて迫ってくる。明らかに魔法かなにかだろう。

それを見た流斗は素早く左に飛んで地割れを回避。そこからウーロンジャオズウと呼ばれる、

背面で逆立ちして起き上がるカンフーのリカバリーテクニックの一種で足元の土を男に向かって蹴り飛ばす。

それを回避される事は予想していたので、予想通り回避した男に向かって自分の武器の青龍刀を振り被る。


が・・。

「・・甘いですよ」

振り被って来た流斗の青龍刀を男は横に身体を捻って避け、そのまま身体を捻った勢いで流斗の背中に回し蹴り。

土の地面に流斗は倒れ込む。

「ぐう!」

更に男がステッキを倒れ込んだ自分に突き立てようとしているのを視界に入れた流斗は、咄嗟にゴロッと

横に転がってまたもやウーロンジャオズウで起き上がった。

その一方で、流斗の元に向かって来ている援軍が居る事を主犯の男はまだ知らなかった。


ステッキは虚しくも空を切り再び地面に突き刺さる。が、男はそれを見越してステッキで攻撃していた。

今度はステッキを起点に地面がゴモモモと隆起する。

鋭い岩にも似たような土の剣山は、流斗めがけて襲いかかる。

流斗はそれを体をひねり回避する。しかし、剣山の頂上の陰から今度は短剣を構えた男が飛びかかってきた。

しまった!と流斗はとっさに腕を顔面でクロスさせ防御の体勢をとる。

ズブリ!

…と、突き刺さる感触は一切感じなかった。


なんだ…?と思い防御する腕を下ろし顔を上げると、目の前にはふよふよと水のバリアが展開されていた。

後ろの方の木陰から、聞き覚えのある声がする。

「流斗さーん!助けに来ましたよぅ!」

「その男が主犯かい!?」

フレアとフロレアだった。

「お、おおー!?」

あっけにとられる流斗と、予想外の事態に動きが固まる主犯の男。


その男の動きが固まっているのを見て、全力で流斗は男を蹴り飛ばした。

「ぶぐ!」

胸から顎にかけて蹴り飛ばされた男は若干悶絶しながらも、再びステッキを地面へと突き刺す。

だがそれをフレアのレイピアが止める!

一方の流斗はその間に立ち上がり、フロレアにおおきにと言ってから再び男の方へと向かった。

「見たところ、それは土魔法のようだね…だったら、地面に触れさせないだけだよ!」

そう言うとフレアはそのままレイピアでステッキを男の手から弾き飛ばす。

「…チッ」

ステッキはくるくると回転しながら男から離れた場所にドスッと突き刺さる。

だが、男はステッキには目もくれず、もう一つの武器の短剣を構えフレアに突撃する。

フレアはそれをレイピアで受け止める。と、男はその隙をついてくるんと回転しフレアの脇を回し蹴り。

「うぐっ!?」

蹴りが見事に入ったフレアは脇を抑えながらずるずると崩れる。そのフレアに男は短剣を両手に構えると

突き刺そうと大きく振りかぶった。


「ぬっ!」

息を吐いてジャンプした流斗は、そのまま思いっ切り男の側頭部目掛けてドロップキック。

「ぐご!」

なすすべ無く男は地面へと倒れ込み、頭を押さえてもだえ苦しむ。頭は人体の急所の密集地帯だ。

そのままサッカーボールキックを何回も何回も男のボディに叩き込み、とどめとばかりに全力で男の頭を上から踏み潰した。

更に男の髪の毛を掴んで強引に立たせ、そばの岩壁目掛けて男の顔面を全力でぶつける。

「オラァ、ぐらぁ、おら、ああ、うるぁああ!!」

ガゴングゴンと男の頭を7回程岩壁に叩き付け、流斗は男の身体を持ち上げて身体の前面から地面へと投げ落とす。

しかし、そんな流斗のやりすぎ感満載な攻撃を止める人物が現れた。


第3部第20話(最終話)へ

HPGサイドへ戻る