リレー小説第3部第12話


が、その「和美」と言うワードに反応したのは女王では無く隣に居るフロレアだった。

「和美さん!?流斗さん、和美さんを知っていらっしゃるのですか!?!?!?」

フロレアは興奮気味に、流斗の肩をガクガク揺さぶりながら問いかける。

「え、あ、おえ、うえ、あ、ちょ、ふ、フロレア、まっ、え、何・・」

まさかのフロレアからの強烈な問い掛けに、ガクガク肩を揺さぶられながら流斗はむせる。

「ああ、和美は俺の師匠や。俺の使う「カンフー」言う武術ももともとは和美から教わった物なんや。

俺は今年で16年目やけど、和美はもう今年で37年目・・やったかな。俺の倍以上、そしてカンフー以外の

武術経験も沢山あるまさに人間凶器の1人やね。でも、何で和美の事知ってるんや・・・え、まさか和美も

この異世界にトリップして来たんか?」


流斗の聞いた事は半分正解で、半分当たりの様である。

この世界では無い何処かの城塞都市で、和美とフロレア、そしてもう1人傲慢な緑色の髪の毛の男と3人で

戦場を駆け回ったらしい。

「何やそれ・・・って事は、異世界に来てしまったのは俺だけや無いんやな。そう言えばあのアレックスとか言う奴も

言ってたな、この世界には後3人地球と・・それからまた別の世界から来たって言う人間が居たって」

すると、その言葉に今度は女王が反応した。

「ご客人…異世界から来た人間と知りあいだったのか?」

女王はふむ、と顎に手を当てる。

「確かにこの世界にはすでに何人かの人間が異世界からやってきている。そして彼らがやってくる度にどこかしらに

綻びが生じていて、問題が発生していることが多い。帝国での反乱や、聖国での正体不明の遺跡の出現であったり」


そして、と女王は続ける。

「それらの問題は我々この世界の住人には解決できぬものだった。彼らの協力なくしてはどうしようも出来ぬものもあった。

だから、私はフロレアを呼び異世界から来た人間がいないか探すところだったのだ」

女王の話によれば、先ほどフロレアから聞いたように、彼女が異世界へ行ったという体験から同じような雰囲気の人間を

探してもらおうと思い、彼女を呼び出したとのことだった。

しかし運のいいことに、フロレアが異世界から来た流斗を連れてきてくれたためにその手間が省けたのだという。

「招かざるご客人、と呼んだのは訂正しよう。あれは異世界から来たという意味の一種の言葉の揶揄だ。して、ご客人。

もし貴方が今我が国で起こる問題の解決に手を貸してくれるのなら、これに越したことは無いのだが。いかがであろう?」

女王は流斗にそう尋ねた。


「結局何が言いたいかと言うと、異世界から人が来たらこの世界で問題が起こって、その対象が今度は俺で、

俺を探していたって事ですか。でも、和美はさっきの口ぶりだとこの世界には来ていないと思いますよ。

それと・・・その異世界から来たって言う人間達の事を後で教えてくれると助かります。確か3人居たって言うけど、どう言う人達だったか・・。

そしてこの国で問題が起こるって言う事がもう分かっているという事は、もうこの国で問題が起こっているって事ですかね・・・?」

そして俺が問題解決に協力して元の地球に帰れると言うのであれば、幾らでも協力しますと異世界からやって来た鈴木流斗は宣言した。

ぐぅ〜・・・と情けない腹の虫の音をさせながら。

「・・・その前に、何か食べ物が欲しいです・・・あかん、もう限界やわ・・・」

「ああ、その点は心配いらない。彼らは解決後にそれぞれ元の世界に戻れているようだからな…っと?」

女王は腹の音に途中で言葉を切る。そして苦笑する。

「その様子だと本当に何も食べていないようだな。良いだろう。詳しい話は食事をしながらにしようか」


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