リレー小説第3部第10話


え? 異世界? とフロレアが目を見開くが流斗はそんな事お構い無しにまずはドアから離れる。

そして助走をつけてスタートダッシュを決め、タックルをかまして喫茶店のドアを開ける。

「すんませんでしたあああああああああああああ!!」

そのダッシュの勢いのままジャンプし、頭を地面に「ごん」と間抜けな音をさせながらマスターの兄貴に謝る。

これがいわゆる「JAPANESE DOGEZA STYLE」である。

もっとも、こんな土下座の仕方をする人間は1万人に1人居れば良い方なのだが。

が、マスターはそんな流斗の土下座をものの見事に無視した。


「フランさんー!お久しぶりですよう!」

フロレアは土下座の姿勢のまま動かない流斗の上をひょいとまたいで喫茶店の中に入ると、フランにかけより

きゃっきゃっと一緒にはしゃぐ。まるで女子会で久しぶりに会った同級生の再会シーンのようだ。

流斗は顔を上げて絶望する。

「あ・・・えー・・・お、俺の決意は・・・」

これじゃあ意味無いやんけ!! と思いつつすっと立ち上がる。

「あ・・あの・・俺・・・その・・・」

しかし流斗は無視される、土下座の意味がまるでゼロ。このままでは話も進まない。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!! 俺の話を聞いてくれへんか!? 謝りに

来たんや俺は!! なー!! ちょー!! おいー!!」

流斗の大声に2人は・・・。


「うるっさいわよデリカシー無し男!!」

と、フランが指をすいっと横に動かす。するとその動きに連動して流斗の口がまるでチャックで閉まるかのようにすいーっと閉じられる。

「あんたの謝罪なんてどーでもいいのよ!それよりもなんであんたみたいな異世界の人間がまた紛れ込んでるかが問題なの!」

フランはやれやれと首を振った。

「聞けばフィオーレの女王ちゃんのところでまた面倒ごとが起こってるようじゃない?で、フロレアちゃんはその助太刀に

行くんでしょう?でもそこのデリカシー無し男のせいで遠回りをせざるをえなくなった。違う?」

フランはギッと流斗を睨みつける。どうやら相当嫌われてしまったようだ。


「まあいいわ。アタシの力を持ってすればフィオーレまではちょちょいのちょいだもの。どうせ今回も招かざる客人のせいで変なことが

起こってるんでしょうから、あんたが責任取って解決しなさいよね!」

と、ビシッとフランは流斗を指さす。

「…返事はぁ!?」

そう言うとフランはパチンと指を鳴らす。同時に流斗の口の拘束が解けた。

「むーむむむむむーって言うてるやろ・・あれ?」

いきなり口の拘束が解けた事で喋れる様になったので、流斗も良い加減限界に来て逆ギレをする。

「・・・あーもうええわ。兄貴言うた事は謝る。すまんかった。けどなぁ、俺だって好きでこの世界に来たんちゃうねん!! 何で俺が

この世界に来て色々とこんな酷い仕打ちに巻き込まれなあかんのか、俺自身が説明して貰いたい位や!! フィオーレ言う国も

俺は知らへんし、遠回り言う事も俺は知らんねん!! 何でもかんでも俺のせいにされたって困るんや!! 問題、問題やら

責任、責任やらさっきから言うてるけどな、魔女とか言うなら不可抗力で起こってしもたと言う事位分かってくれ!! それを解決して

元の世界に帰れる言うんなら、占いでも何でもして問題の本質を教えてくれへんと困るのは俺も一緒や!!」

もはや支離滅裂なのかどうかすら怪しい流斗の長い長いセリフ。 どうやら熱意は伝わった・・様だ?


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