リレー小説第3部第4話


「わぶっ!やってくれるじゃねェの!」

布を顔面に受けたアレックスだったが、素早く布を払うと拳銃を構える。

両手の二丁の拳銃から、流斗の足元めがけて銃弾が飛び出した。

「ハッハァ!踊れ踊れェ!」

「うお、わ、くぅ!?」

流斗は撃ち込まれる弾丸を何とか狙いを絞らせない様にして逃げ回る。だけどこのままじゃスタミナ切れで

まずい事になるのはこっちの方だった。

(何とか・・・出来るのか!?)

さっきは急がば回れと口にしたばかりだが、この状況では・・・・・。

(・・・ん? 急がば回れ・・・?)


そう思うや否や、流斗はアレックスが銃のリロードをする為に一旦銃撃が止んだ瞬間を見計らって一気にぐるっと

前転しながら先程投げつけた布を拾い上げて青竜刀を投げつける。

その青竜刀をギリギリで避けた彼の足元に接近し、拾った布でアレックスの足を掬い上げる!!

足元をすくわれ、「うわお!?」っと奇声をあげながらアレックスは体勢を崩した。

背中から地面に倒れそうになるも、とっさに拳銃を宙に投げ、空いた両手を地面につけ、倒れる勢いを利用しハンドスプリング。

グルンと体を一回転させ、とんっと両足で着地をする。すると絶妙なタイミングで先ほど宙に投げた二丁の拳銃が、

すっと彼の手元へと落ち、パシッとそれを両手で受け取った。

「あぶねーあぶねー。転んじゃうとこだったよォ」

しかし、体勢を直すのにどうやら時間をかけすぎたようだった。

流斗は立ち上がって来た彼の手にその布を巻き付けてハンドガンを取り上げ、その勢いで左、右と肘をアレックスの顔面へ。

そうして地面に落ちた彼のハンドガンを拾い上げてアレックスの顔面に突きつけた・・が、目の前にはもう1つの

アレックスの銃口も突きつけられていた。

「・・・自分でも良くやった・・かな・・・」


どうやらこの勝負は引き分けに終わった様であった。

「ギャッハハハハハハ!あんたなかなかやるじゃねえのォ!いいねいいねェ気に入った!約束通りこれはあんたにくれてやる!」

アレックスは高らかに笑うと、流斗の顔面に先ほどの白紙のチケットを投げつけた。

「そこで魔女さんに助言もらいなァ。そうすりゃ、あんたが何でここに来たかがわかるんじゃねえかァ?」

顔面に投げつけられたそのチケットを手に取り、流斗は引き換えにハンドガンをアレックスに返す。

「どうもありがと。それじゃ、これを太陽にかざせば良いんだよな?」

その後はそこに居る魔女・・とやらに聞けばいいのか、と思っているのだがどんな奴なのか見当もつかない。


「ちなみにこのチケットかざして、どんな感じでその魔女の所に行けるんだ? 意識がフッ・・と飛ぶとか? それから

その魔女ってどんな奴なの?」

青竜刀を布にくるみつつ、不安を少しでも和らげたい一心でアレックスの返事を待つ。

「そうだな、意識が飛ぶってのは近いかもしれねえな。厳密には瞬間移動みたいなもんだ・け・ど」

アレックスは渡されたハンドガンを受け取り、腰のホルスターに戻す。

「魔女さんはなあ…うーん…まあ俺様から言えることは、決して「兄貴」と呼んじゃいけねえ」

そう答えるアレックスの目は先ほどとうって変わって死んでいた。

「分かった・・・それじゃあ外に出てからこれを使ってみる」

そう言って流斗はアレックスに敷地内の人気の無い場所まで案内してもらう。

「ここで使えば良いんだな?」


そう言いながらチケットを太陽に向かってかざしてみる・・と、次の瞬間一瞬視界が暗くなったかと思うと

何やら奇妙な場所に流斗は移動していた。

(ここは・・?)

目の前にあったのは小じゃれた喫茶店。それ以外は全て真っ白で、何もなかった。

他に行く場所もないので、流斗はとりあえずその喫茶店の中に入る。カランカラン、と扉につけられたベルが快い音をたてた。

店の中には、おそらくマスターだろうと思われる男が一人。カウンターで鼻歌交じりにグラスを磨いている。

その男以外に人の気配はしないので、流斗はその男に話しかけてみる。


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