Reconstruction of the kingdom第8話


通過した事によって下働きをする必要も無くなり、ある程度城においても

顔が利く様になっていたのでこちらも意外と早く入団当初から生活に

馴染む事が出来た。兵士部隊員達から城での生活がどの様な物なのかを

ある程度聞かされていた事も大きかったのだが。

その騎士団の生活にも慣れて行き、カルヴァルの初出陣となった遺跡の調査でも

彼は先輩騎士としてカルヴァルを良く知っていた。

それ以外でもカルヴァルが副騎士団長になる切っ掛けになったあのワイバーン率いる

魔物集団の討伐作戦や騎士団長になる切っ掛けになった襲撃事件においても

ローエンもまた活躍していた事は忘れてはいけない。


そして、ローエンがその後にカルヴァルに誘われる形でジェバーやルイスと共に帝国への

反乱事件を起こしたと言う事も。

彼はどちらかと言えばジェバーと違い乗り気であり、孤児であった彼が皇帝の座につく事を

快く思っていなかった事から率先して反乱作戦の立案等を手がけていた。

現在ではベテラン騎士としての経験が考慮されて、新生ラーフィティア王国の騎士団長を

カルヴァルから任命される形で勤めている。

その騎士団内のポジションのローエンは、ベテランらしく一歩引いた立ち位置に居る事が多い

冷静な性格で無口だが、言った事は必ず実行すると言う有言実行の信念がある。

数々の任務をこなして来た伝説の騎士団員としてイディリーク帝国副騎士団長時代から

知られているが、現役を引退しようと言う事は41歳の今でもまだまだ考えていない。

イディリーク帝国騎士団時代から彼の最も近くにいる立場の副騎士団長ルイスが最も

信頼している人物でもある。



そんなローエンの副官としてイディリーク時代からローエンをサポートして来ただけでは無く、今では

ラーフィティア王国副騎士団長の座についていて同じく騎士団を纏め上げる存在の1人であるのが

ルイス・ナーヴァイン、33歳だ。

カルヴァルより年下であるが、実力は副騎士団長を務めるだけあって折り紙つき。その裏にある

特殊な生い立ちが今の彼をその地位に上らせたと言っても過言では無い。

彼は元々イディリークの西の隣国ヴィーンラディにおいて、アーエリヴァやそれこそイディリークの情報を

探る密偵組織の一員として活動していた。そもそもその前は捨て子であり、その彼を拾った組織の

頭目から諜報技術、潜入技術をたっぷりと仕込まれて育って来た。


そうして幾つもの任務を10歳からこなしていたのだが、19歳の時にイディリークの情勢を探る為に

他のメンバーと一緒に諜報活動をしていた所で運悪く地方都市に駐留していた騎士団の部隊に見つかってしまった。

数の有利さから逃げ切れずに捕まってしまった彼は執拗な尋問にも何としても口を割るまいと

耐えていたが、結局ルイスでは無くイディリークの別の場所で捕まってしまった彼の仲間達が口を割ってしまい、芋づる式に

ヴィーンラディに乗り込んだイディリーク帝国の騎士団と兵士部隊の手によって組織が壊滅まで追い込まれてしまう。

行き場を無くしてこれから如何しようかと途方に暮れていたルイスだったが、当時の皇帝が彼の

諜報技術や潜入技術の高さを部下達から報告されて、騎士団への入団を勧めた。


武術や体術、馬術や魔導も一通り頭目から習っていたのだがイディリーク騎士団に入団してからは

正規の騎士団員達との違いをまざまざと見せ付けられてしまう。しかし居場所を失ってしまった

自分の居場所をまた作ってくれた皇帝への恩を忘れずに精進し、正騎士団員へと昇格。

その後はカルヴァルやローエンと同じ任務に出たり、他の任務においても成果を残せる様になって

今から7年前の26歳の時に当時の副騎士団長の副官、つまりローエンの副官になる事が決まった。

基本的に彼はこうした経緯からイディリーク帝国騎士団では無く皇帝そのものに忠実であり、ローエンと

同じくリュシュターが新たな皇帝になる事に不安を覚えた彼もまた乗り気で作戦の立案をしていた。


結局その作戦は失敗に終わったものの、イディリーク帝国に見切りをつけた彼は自らの意思で進んで

帝国から出て行く事を決意した。今では副騎士団長としてローエンと共に騎士団を纏めるだけで無く、カルヴァルの

元私兵団員で構成されている今の騎士団員達の中から若手騎士団員を選んではその指導役も勤めている。

諜報活動、隠密行動、そしてトラップの製作等に関してはローエンやカルヴァルよりも経験が長い為に

若手騎士団員達を指導する時にはこうした裏方の行動に関する指導を行う事が大半である。

隠密行動を得意としている割には熱くなり易く好戦的な一面もあり、強い人物を見かけると

戦いたくなってしまう性格をどうにかしたいと言うのが今の悩みである。


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