Reconstruction of the kingdom第7話
しかしその計画は見事に裏をかかれてしまい全てが失敗に終わってしまう。
結果的にジェバーも反乱計画のリーダー格として国外追放となり、カルヴァルと
一緒にこうしてラーフィティア王国の再建に関わる事になった。
現在でも魔導の勉強は日々欠かす事無く続けており、自分が得意な分野を伸ばして行ける様に
政務や公務の間を縫って魔導の研究もしている。他にも宰相となった時から帝王学等の勉強を
自主的にする等、自分がカルヴァルと一緒に国を引っ張って行かなければならない存在の
1人である事を自分から受け入れて、その為に知識を身につける事が必要だと考えている。
今では魔導の勉強の時間は毎日しているとは言え大分減り、代わりに今では
国内外の情勢のチェックをしたりカルヴァルのスケジュール調整をしたり政治の事に
対して日々奔走したりと、カルヴァルと同じく予想以上の忙しい毎日だが彼自身は
何処かこんな日々を楽しんでいる様子だ。
そんなジェバーもこれまた、今回の式典の為に警備体制を強化する事を
カルヴァルから提案されてその警備体制を作り上げた人間の1人である。
式典の時に何か嫌な予感がするのは目に見えているし、勿論ジェバーもカルヴァルと
同じで今回の不可解で残虐な事件には頭を悩ませているからだ。
それでも宰相として式典を今更中止には出来ないとばかりに腹をくくったジェバーは、
カルヴァルと一緒に式典当日を迎える。
式典の最中は色々な挨拶があったりする他、歓談で貴族達が談笑をかわしたりもする
一種のパーティだ。勿論そのパーティで出される飲み物や食べ物全てには厳重にチェックが
入っている他、シェフや給仕達のボディチェックも行われる等過剰とも言える警備体制だ。
「異常は無いか?」
「はっ。今の所料理に毒が盛られたりと言う事はございません」
警備体制のチェックをしに来たのは、私兵団時代からの付き合いがある緑髪の男の
ローエン・マリスデル。そしてそのローエンにはっきりと返事をしているのがローエンの副官であり
副騎士団長でもあるルイス・ナーヴァインだった。
そもそもこの2人は元々イディリーク帝国において、カルヴァルの副官を務めていたのが
ローエンであり王宮騎士団の副騎士団長であった。
それからルイスはローエンの副官を勤めていた人間であったが、彼等もまたカルヴァルの計画に
賛同して反乱を起こした為にこうしてリュシュターの命令で国外追放となったのである。
今ではその時の経験を活かしてこうして新生ラーフィティア王国の騎士団長と副騎士団長を
それぞれ務めて貰っているが、ローエンとルイスが大部分の警備体制をまかなっている王城の
警備責任者と言う訳だ。
ローエン・マリスデル本人がカルヴァルよりも6歳年上の41歳。カルヴァルの先輩騎士団員。
平民出身の彼は農家を営む家の次男として生まれていたが、不作によって彼自身は
12歳の時に帝都に住む親戚の家に住み、そこから出稼ぎに向かう事になった。
その出稼ぎ先が、兵士部隊員達が良く利用している料理屋の下働きだったのである。
その下働きをしている内に帝都の兵士達と仲良くなった彼は、子供の頃からの農作業で
背はやや高めだがそれ以上になかなか体力があったので、兵士達に武術や馬術そして
魔導の稽古もつけて貰える様になった。
武術と馬術を覚えた事によってより遠くの町へと買出しに出かけたり材料の獲物を狩って
来たりと言う事が出来る様になった他、王城に段々と顔も利く様になった。
それを見ていた出稼ぎ先の料理屋の主人から騎士団への入団試験を受けてみたら
どうか、と16歳の時に勧められたのが入団の切っ掛けになったのだった。
そうして勧められるままに帝国騎士団の入団試験を受けたのだが、元々の基礎体力が
農業の手伝いで鍛えられていた上に4年間武術、馬術、そして魔導の訓練をしていた
事でこちらも基礎が出来ていた。なので本人曰く「意外とあっさりと」通過出来たと言う
帝国騎士団への入団試験では総合7位と言う成績を残している。
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