Reconstruction of the kingdom第6話


ジェバー・アローザは新生ラーフィティア王国の31歳の若き宰相として知られており、

一国の宰相として今後の活躍が期待されている。

元々はカルヴァルと同じくイディリーク帝国の王宮で魔導師として魔法の研究や実用化に

ついて精を出していた身だったが、実はそれ以前からカルヴァルとは付き合いがあった。

子供の頃から身体を動かすよりは本を読む方が好きだった為、馬術は一応出来るのだが

剣術や体術等の武術関係は余りセンスが無かった。

その代わり、沢山本を読んでいたのでその中の魔法に対してセンスを開花させ、

次第に魔導師としてイディリークで活動したいと思う様になる。


イディリーク帝国の中でも有数の貴族として知られている家で生まれ育った

彼は誰に対しても敬語で話すのが特徴であり、一見すると物腰が柔らかい人物にしか

見えないと言うイメージが付きまとう。が、魔導を習う者には結構な変人が多いのが

イディリークのみならずこの世界全体に言えるセオリーの1つでもあり、勿論変人じゃない者は

居るにしても大抵は何処か常識に疎かったりとんでもないぶっ飛んだ行動をしたりと言う様な

人間が大半だ。ジェバーは普段の行動に関しては特にこれと言って奇行も無く真面目なのだが、

その喋り方が凄く相手をイライラさせる喋り方だった。


確かに敬語ではあるのだが、やたらと語尾を延ばしたりテンションが何時も高かったりして

そのハイテンションさについていけない人間が続出していたのは言うまでも無い。

やたらと周囲を茶化す様なセリフも多く、真面目な部分でもたまにそう言った事があるので

そう言った部分を嫌う人間が多かったのも事実だ。

しかしながらその魔導の知識と技術に関してはなかなかの物だったので、19歳の時に

イディリーク帝国の帝都に向かった彼はそのまま魔導師として帝国の研究機関で魔導の研究と

実用化に明け暮れる日々となった。


その帝都に向かった時に、当時まだ王宮騎士団の平騎士として活動していた当時23歳の

カルヴァルに自分が落とした本を拾ってもらった事が切っ掛けで帝都を案内して貰ったり、

一緒に食事をしに行く等と言う様に親睦を深めて仲良くなって行った。

そこからカルヴァルとの親交が深まって行き、お互いに王宮に勤めている事もあってか一緒に

行動している姿が良く見かけられる様になって行った。

ジェバーと違ってカルヴァルは魔導を使う事が出来ない分、武器や体術でその点を補うスタイル。

ジェバーは体術や武器術ではセンスがゼロだが、魔導でそれをカバーすると言う正反対の

スタイルだが相性は良かった様だ。


研究はハードになる事も良くあり、研究室で寝泊りする事もざらであった他に自室の整理に

関してはもう滅茶苦茶で、そこら中に魔導書が散乱していたり何かの薬品が転がっていたり

書きかけの魔法陣があったりと色々と駄目人間としての一面を覗かせていた有様だった。

しかしこれもまた魔導師達のセオリーと言うか何と言うか、研究に熱中する余りその他の事が

おろそかになり、餓死寸前まで研究に明け暮れていた魔導師もシュア王国に存在していた

過去の例もあって彼は完全に開き直って行った。

そんな魔導以外の事は自堕落な生活を送っていたのだが、彼が今から3年半前……

28歳になっていたある日にカルヴァルから個人的に話がしたいとの呼び出しがあった。


その時のカルヴァルは32歳。すでに王宮騎士団長になって6年になろうとしていた。

話があると言って呼び出されたのは、騎士団でも魔導師達の間でも余り人が

寄り付く事の無い寂れた倉庫だった。

そこで、半年前のあの襲撃事件の話をジェバーはカルヴァルから持ちかけられたのである。

最初は突拍子も無いその計画に驚いていたのだが、よくよく考えてみればカルヴァルと

同じく今の皇帝に不安を感じていた事もあり、それであればこの帝国の事を長く知っている

自分達の方がイディリーク帝国をより良くして行けるだろうと言う考えに辿り着いた。

そう、その計画が実行されるまでは……。


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