Reconstruction of the kingdom第5話


そうして副騎士団長就任から1年後の26歳、今から9年前に

王宮騎士団長になったカルヴァルであったが、騎士団長としての任務を

こなして行く内に今度は自分が王宮騎士団長としてリュシュターの傍に

居る事が苦痛になって来た。僅か20歳と言う若さで皇帝の座についた

リュシュターを見てこの帝国の将来に不安を覚えてしまった彼は、26歳で

王宮騎士団長になった事もあり何時の間にかおごり高ぶった感情が出ていた。


プラス、王宮騎士団長になった事で私兵団を持つ事が出来ていたカルヴァルは

その私兵団と一緒に今度は自分が皇帝になれるのではないか、と言う

とんでもない事を考え出した。結局の所その考えは裏切ったと見せかけて実は

裏切って無かったローレンやジャックス、そしてジアルやラルソンと言った面々に

止められてしまい、結果的に処刑される筈だったのがその後のリュシュターの一言に

よってこっちのラーフィティア王国だった場所に追放される結果になってしまった。

追放されたのは自分だけでは無く、反旗を翻した長い付き合いのジェバーや

私兵団の面々も一緒に追放されたので、それがこの王国の復活に繋がった事になる。


だから結局、自分が王になる事が出来たカルヴァルだったが未だに自分のやった事が

正しかったのかどうかと言う事に関しては心の何処かでモヤモヤしている。

それでも今は新たな王国の王として、自分が一国を担う立場になる事で今まで

見えていなかった事が見えて来た。

確かに帝国騎士団に所属していた事は人生経験としてプラスになっていたし、帝王学も

学んでいたのである程度の人の動かし方については分かっている。

だけど王になると今度は騎士団時代とは違って政治についての業務だったり国内の

治安についても気を配らなければいけない。


また他国との情勢に関しても、王である自分が率先して国のトップとして動いていかなければ

ならないので会談に参加する為に他国への遠征が格段に増えたり、貿易に関しても国内に

足りない物は何かと言う事を臣下たちと一緒に考えたりと言う様に、騎士団長としてでは無く

一国の王として活動するならば今までとは比べ物にならない忙しさがあったと言う事を、現在の

彼自身が身をもって知る事になっている。

しかしこれは以前の彼が皇帝になりたいと自ら望んだ事が、形は違えどやっと現実になったので

途中で絶対に逃げ出さない事を念頭において頑張っているのもやはりカルヴァルだったりする。


式典当日まで時間が無いが、騎士団長時代の事を思い出してあのリュシュターの襲撃事件の

時よりも更に警備体制を限界まで強化。式典は王城内で行われるので王城近辺には特に

多くの人員を配置している。勿論王城内に関しても抜かりは無い様に人員を配置しており、

万全の体制で式典当日に臨む事にしてある。

(何処からでも来て見るが良い。ここの守りは自分で言うのもなんだが完璧だからな。だからこそ

式典は絶対に成功させて見せる!)

心の中で自画自賛しながらも、当日の警備体制に関しては絶対に襲撃等出来ない体制に

なっているし、部下達に関しても元私兵団員達を始めとした信頼のおける部下達で固めている。


だが、カルヴァルはまだ気がついていなかった。王国を再建してまだ半年しか経って

いないのだが、この王国にはまだ隠された秘密があると言う事を。そしてその王国の

隠された秘密が原因で一気に劣勢に追い込まれて行くと言う事になる等、まだこの時の

カルヴァルは知る由も無かった。全ては水面下で着実に魔の手を忍び寄らせている

人物達が居た事と、まだ半年しかこの王城を知る時間が無かったと言う事、そして

目の回る様な忙しさでその秘密に気がつく事が出来なかった事が原因だったのである……。


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