Reconstruction of the kingdom第3話
カルヴァル・サルザードは元々南のイディリーク帝国において
王宮騎士団の団長であり帝国騎士団の将軍を勤めていた男だ。
そもそも王宮騎士団と言う部隊は文字通り王宮を守る部隊では
あるものの、実際の所は王宮に限った活躍はしない。王宮だけでは
無く帝国全土を股にかけて帝国の守護の要となっているだけで無く、
有事の際には王宮騎士団が世界中で戦う事になっている。
そうしてその下に、かつての総隊長であったジアルや副総隊長であった
ラルソンが率いている兵士部隊があって、この兵士部隊は王宮騎士団の
サポートに回っていた。
皇帝であるリュシュターを守っていたのはローレンとジャックスが率いる
近衛騎士団達であったが、実際に自分も将軍と言う立場であった以上は
何度か皇帝の他国への遠征に護衛としてローレンと一緒に行った事もあった。
元々はイディリーク帝国で生まれ育ち、母は彼が生まれてすぐに病死してしまい
同じく王宮騎士団員であった父に男手1つで育てられた。
その為に小さい頃から必然的に騎士団とは深く関わる様になり、物心がついた
5歳頃にはもうすでに武器を握って父の元で鍛錬に励んでいた。
そうして10歳の時に特別に見習いから入団した彼は、そのまま他の騎士団員達の
元で武術は勿論の事礼儀作法や戦術等も学び、果ては人の上に立つ騎士団長を
目指す為に簡単な部分だけではあるが帝王学もかじっていた。
そうして最初に戦場に立つ事になったのは15歳の時。と言ってもまだ見習い騎士
だった彼が望んで戦場へと向かった訳では無い。そもそも戦争等では無く、最初に
彼が立った戦場は辺境の遺跡の調査の時にその周辺の魔物や盗賊を壊滅すると
言う物だった。事前の調査結果によれば、その遺跡の周辺では魔物が討伐された
後なので大丈夫だと言う事になっており、カルヴァルは他数名の同期と共に騎士団の
見習いとして任務の中で正騎士の補佐に回る役目だった。
しかし、丁度その時運悪く繁殖時期と重なってしまった為に魔物が他の場所から
遺跡の周辺に移動して来て、結果的に王宮騎士団も襲われる事になってしまった。
5年間知略と武術を身につけて来ていたとは言え、裏を返してみればまだ5年目だけ
あってヒヨッコな事には変わりが無かった筈だが……カルヴァルは入団の5年前からすでに
父にスパルタ教育を受けて来ていた事もあって魔物との戦闘においても、他の
騎士団員達が戦うのを見て自分もなるべく同じ様に戦った。
正直な所を言えば騎士団に入る前も入ってからも魔物との戦いはした事が無かったので
あったが、様々な魔物への対処法を勉強していただけあって実際の初戦闘では見よう見真似と
その知識を総動員して戦ったのである。
最終的に王宮騎士団員達は魔物の群れを追い払う事が出来、遺跡調査を続ける事が
出来る様になった。
そうして遺跡の調査を終え、王宮騎士団は無事に帝都へと帰還する事が出来て
カルヴァルの活躍も報告される。だからと言ってそれで正規の騎士団員になれると言う事では無く、
きちんと試験を受けそして18歳以上にならなければいけないと言う事は他の見習いと同じであった。
騎士団員の息子だからと言って10歳で特別入団した事以外では決して特別扱いはしない。
勿論それはカルヴァル本人も感づいていた事なので素直にその後もステップアップを続け、18歳の時に
きちんと試験に合格して王宮騎士団の正騎士になる事が出来た。
そこからは王宮騎士団員として、父と関わる事自体は1年に1回あるか無いか位の日々の中で
確実に功績を積み上げて行き、同じく魔物の討伐任務に向かったり帝都で盗人を捕まえたり目の前で
喧嘩があれば兵士部隊員と共に仲裁に入ったりと言う事をして行った他、入団から4年後の22歳の時には
リュシュターの遠征に王宮騎士団員達の一員としてついて行く事もあった。
それからも努力を怠る事無くステップアップして行った彼は、25歳の時に運命を変える大きな事件に関わる事になる!!
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