Reconstruction of the kingdom第2話


「またその事件か……」

「この所連発していると言う話でして、国内の至る所で

同じ事件が何件も起こっています。これは私達王国への

挑戦状と見て良いですね」

そんなカルヴァルと、宰相であるジェバーの2人は現在頻発している

とある事件について頭を悩ませていた。


その事件と言うのがまるで奇妙な物である。何故かと言えば、まず事件の始まりが

各地の村や町において多数の盗賊達が現れる。そのやり方は極悪非道の一言につき、

村を襲ったならまずはそこに火を放つ。それから抵抗しない女子供まで絶対に、それも

1人残らず全て皆殺しにする。そして最後にやる事が凄く奇妙な物で、わざと何人かだけ

村や町の外に逃がし、そして騎士団の部隊を呼んで来て貰う。

そこで呼んで来て貰った騎士団の部隊を大勢で待ち伏せし、弓で一斉射撃をしたり

一斉に部隊の死角から襲い掛かったりして1人残らず返り討ちにし、多くの金品を盗んで去って行く。


そんな経緯でここ数週間、幾つもの村や町が潰されて来た。

明らかにこれは騎士団に対して、いや王国そのものに対しての挑発行為である。

「だが、その目撃者は曖昧な証言しかしない……。大勢の人間が一斉に襲い掛かって来て、

縦横無尽に村や町を駆け巡って死体の山を築き上げるからショックもでかいだろう。そして

騎士団員達は返り討ちにされている。こちらも警備の数を増やして行きたい所だが、人員に

余り余裕が無い……くそっ!」

まだまだ立ち上げたばかりの王国だからこそ、人員も物資も余裕が無い。更に目撃証言も

曖昧なだけでは無く、パニックで逃げ惑っていたが為に主犯格の顔すら知らないと言う有様が

全ての事件において続いていた。


「こうなったら、他国からの救援要請を頼むしか無さそうですね。これだけ凶悪な事件が

頻発しているのであれば、こちらとしてももうなりふり構ってはいられませんよ」

カルヴァルが悪態をつく横で、ジェバーも首を横に振ってその解決策を示す。

「地図に今までの事件の場所を纏めてみたが……各地方に散らばっていて

まるでその場所に一貫性が無い。まさに神出鬼没か、あるいは……」

「所構わず攻撃し、この王国を潰したい……か」

ジェバーのその一言で、また執務室内のテンションがガタ落ちだ。

「参ったな、このままではまずいぞ。式典どころの騒ぎじゃないだろう」

「ですね……。これだけ凶悪な事件が起こっていたら式典を中止にする事も

考えましたが、もう中止が不可能な段階にまで準備が終わってしまいましたし、

今更と言う訳にも行きませんね」


実は今からもう数日後に、この王国が再建を果たしてから半年が経過したと言う事を

記念しての式典がこの王都ベルトニアで開かれる事になっているのだ。

しかしここに来てこの様な凶悪な事件が起こってしまっている為に、もしもの事を考えると

式典を中止にせざるを得ない事も考えていたのだが、ジェバーの言う通り準備の段階で

もう取り返しのつかない所まで終わってしまっているからそれは不可能だ。今更式典は

中止、等と言う事になると色々と面倒になってしまう。

「仕方が無い。王都の警備を極限まで高めておけ。それ位しか今は出来る事が無いな」

「はっ、すぐに手配致します」


と言う訳でジェバーは騎士団長を筆頭とした騎士団に、王都の警備を式典の日には

極限まで高めて警備を怠らない様に頼みに行く。

今の状況ではそれ位しか対策を立てる事が出来ない。式典は中止には出来ない。

そう決断したカルヴァルとジェバーであったが、まさかこの決断が大きく間違っていたと

言う事を知る事になるとはその式典の当日になる。

その破滅へのカウントダウンがこの時からゆっくりと、しかし確実に2人の元へと迫りながら

式典の日にちが刻一刻と近付いて来るのであった。

そう、この警備を易々と潜り抜けられる程の戦力を持っている敵がこの王国への侵略を

企みながら接近していたのであるから……。


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