Reconstruction of the kingdom第19話


カルヴァルは廊下で自分に突然斬りかかって来た男……顔に大きな

古傷がある、金色と黒の2色の髪の男と戦いを繰り広げていたのであったが

そこに今度はもう1人、こちらは緑と赤の2色で髪の色を分けている中年の男が

乱入して来たのであった。

そうしてカルヴァルはこの2人の男からこの王城に侵入して来た目的や、正体である

「旧」ラーフィティア王国の自分達の事、更に頻発していた連続騎士団員惨殺

事件の犯人が自分達である事も当事者のこの2人の口から聞かされた。


「もうここは俺の国なんだよ。御前達がこうして入って良い場所では無い。さっさと

俺の国から出て行け!!」

「それはこっちのセリフだ。全てはこの王国を取り戻す為に、私達は傭兵団として

世界各地をひっそりと回っていたのだからな」

「傭兵団……?」

初めて聞く単語に、カルヴァルは2人の男と対峙しながら首をかしげる。

「何だ、その事については知らないのか。だったら教えてやれジェイデル」

「はっ!」


カルヴァルに対してハルバードを向けたまま対峙しながら、ジェイデルと呼ばれた中年の男は

傭兵団の事に対して説明を始めた。

「私達はこの国がこうして滅びた後に再起を図ってこっそりとこの王国を抜け出し、資金繰りの

為に騎士団達を率いて大規模な傭兵団としてこっそり活動する事にしたんだ。しかし御前達の

イディリークやヴィーンラディで活動すればすぐに正体がばれてしまう事は避けられない。

だから私達はアーエリヴァの西側からエスヴェテレス、そしてファルス、最後にシュアとこの4つの

地域で活動する事を決めた。アーエリヴァは運良く東側に帝都があるから、西側の田舎を

中心にして活動すればなかなか帝都まで情報は届きにくい。

それに、私達は大規模なのを利用した。12あるそれぞれの騎士団の部隊長達を

上手く4つの地域で振り分けて効率良く、しかし目立つ依頼をなるべく避けて金を稼いで来たんだ」


そこまで聞いて、呆れた様にカルヴァルが鼻で笑った。

「はっ、良くやったもんだぜ。確かに御前の言う事が本当なら、こっちまで情報が届いて来ない訳だ」

「そうだろう。そしてこうして資金が大分貯まって来た頃、イディリーク近辺で情報収集をさせていた

我が傭兵団の部隊が御前達がイディリーク帝国を追い出され、新たにラーフィティアの再建に

乗り出したとの情報が入った。それを聞いた私達は当然黙っている筈も無い。ここは元々私達の

国だったんだ。だからこそ丁度良いタイミングでこうして戻って来て、まずはこの王国を私達の手に

取り戻す為に活動させて貰ったよ」

「だから俺の部下を殺して回ったって訳か。新生ラーフィティア王国騎士団員達を!?」


その最後が叫び声になってしまったカルヴァルの問い掛けに、ジェイデルでは無く顔に傷があるもう

1人の男……旧ラーフィティア王国の国王のヴァンリドが平然と答えた。

「御前も元々イディリークで将軍やってたんだろ? だったら分かるだろう。目障りな新ラーフィティア

王国騎士団員を潰していけばそれだけこっちに有利に物事を進める事が出来るんだ。それ位、兵を

動かす戦略として当たり前の事だと思うがな? この式典の終わり頃を狙ったのだって、御前達が

式典で何事も無くて安心し切っていたその心の緩みを私達は付け入る隙として見ていたんだ。

残念だったな? そもそも最初から式典が私達の狙いでは無かったんだよ。イディリークからやって来た

御前を始めとした復興グループを殺してまた私達が実権を握る為に、この王城潜入作戦を立てたんだからな」

平然としたその態度に、冷静沈着な性格のカルヴァルも流石に怒りのボルテージが上がるのを抑え切れなかった。

「だったら……その報いはここで受けて貰わなきゃいけねぇなぁ……?!」

しかし、そんなカルヴァルに衝撃の事実がこの後明かされる事になるのであった!!


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