Reconstruction of the kingdom第20話(最終話)


「そうか、ならやれる物ならやってみろ……と言いたいが、その前に1つ聞きたい。

この世界に生きる者なら御前も知っているだろう、伝説のドラゴンを」

「伝説の……ドラゴン?」

きょとんとした顔をするカルヴァルにヴァンリドは鼻で笑った。

「何だ、知らないのか?」

「バカを言え。俺だってその伝説については知っている。だが今それが、この

王城襲撃事件と何の関係が有る?」

「ああ、大有りだ」

問い詰めるカルヴァルに、ヴァンリドはまた平然とそう答えを返す。

「だったら何が関係あるんだ。話して貰うぞ」


そのカルヴァルの要求に、ヴァンリドはにやりとした笑みを口元に浮かべて話し始めた。

「伝説のドラゴンの遺跡が、このラーフィティアで最近新たに発見された事はまだ知らないだろう。

そもそもその事を知っているのは私達だけなんだ。そうだろう、ジェイデル?」

話を振られたジェイデルも同意して頷いた。

「ええ。そもそもその遺跡を見つけたのはイディリークとの国境に近い南東の森の中でしたからねぇ。

それもつい2週間前に。しかしその遺跡の扉を開く為には何かのパスワードが必要だった。そこで

ヴァンリド陛下は思い出されたのだ。その遺跡の扉を開く為のパスワードがこの王城内の何処かに

あるのだと言う事をな。まぁ、あくまで噂にしか過ぎないが」

そこまでジェイデルが言って、その先に言いたい事をカルヴァルが続ける。

「だけど、この王国はもう俺達の支配下にある。そのパスワードを手に入れると言う事も目的の

1つに加わったからこうして傭兵団になった元騎士団が乗り込んで来た。城内の人間を殺して王国と

王城を奪還した後、思う存分大人数でそのパスワードを探す為に……そうだろう!?」


そのカルヴァルの予想はどうやらピッタリ当たっていた様で、武器を手に持ったまま何とも器用にジェイデルと

ヴァンリドは拍手をする。

「流石、元将軍だけあってこう言う所に頭は回るみたいだな。と言う訳でこちらが話す事はこれ以上

無い訳だし……そのパスワードを手に入れる為、そして私達の王国を返して貰う為に御前には死んで貰う!!」

「じょ、冗談じゃねぇーっ!!」

ジェイデルとヴァンリドが2人同時に襲いかかって来て、その攻撃を受け止めようとカルヴァルが覚悟を決めて自分も

大斧を構えた……その時だった!


「ぐおっ!?」

突然カルヴァルの後ろから飛んで来た1本の矢が、見事にヴァンリドの脇腹に突き刺さった。

それとほぼ同時にカルヴァルの目の前に飛び出て来る影が。

「陛下、ご無事でしたか!!」

「お、御前等!?」

カルヴァルの後ろから、今戦っている筈の弓を放ったヘーザ、シャプティ、飛び出して来たジレフィン、

槍使いのレーヴァがそれぞれ姿を現した。


更に……。

「そこまでだ、諦めろ!!」

「ろ、ローエン将軍!! ルイス副将軍も!!」

同じく別の場所に居た筈のローエンとルイスも駆けつけて来てジェイデルとヴァンリドにそれぞれ

向かって行ったかと思えば、その後ろに続く影がもう1つあった。

「宰相は逃げちゃいましたよ〜! もう貴方達の部下達もキズだらけで全員逃亡した様ですねぇ〜!!」

この独特な口調が特徴の新宰相であるジェバーも、オーレンとのバトルを制して合流した様だ。

それぞれが別々の場所でのバトルを制して、どうやら残っているのはジェイデルとヴァンリドの2人だけだった様だ。


「ちぃっ……仕方が無い、ここは退いてやる。だが私達はまだ諦めた訳では無い!!」

「何時かまた、私達は現れるぞ。この国の国王はこの私なのだからな!!」

近くにあった大きな窓を身体全体で突き破って上手く下の茂みに着地して逃げて行ったジェイデルと

ヴァンリドだったが、彼等を追うよりもやらなければならない事があった。

「おい、被害状況の確認と負傷者の手当てだ。俺も手伝う。急げ!!」

「はっ!!」

そう、今の時点でまだまだ人手不足の状態が長引いているラーフィティア王国騎士団においてはあの2人を

追いかけるよりもこちらの方が重要な事であった。


その後、被害状況を各々の奮闘で何とか最小限に抑える事は出来たがやはり死者は免れなかったらしく

そうした被害も出てしまった。

とは言え、何とかあの「旧」ラーフィティア王国の連中から自分達の国を守り切ったこの「新」ラーフィティア王国の

メンバー達はこの先も他の国々との取り引きを増やしたり、移民を多く受け入れて警備態勢を更に強化したり

する等して人手不足の部分と世界各国との親交を深めて行く事になる。

そしてあのドラゴンの遺跡に関するパスワードは、王国の地下に広がる水路の隠し通路……あの2つの倉庫が

それぞれ別の出入り口として利用されていた場所から隠し通路に入り、その隠し通路の奥の方にある

かつて宝物庫だった場所で古い文献が幾つも発見され、その文献の中の1つから発見された。

だが残念な事にそのパスワードを持って後日遺跡へと向かったカルヴァル達に待っていた物は、このパスワードの

他に強力な結界らしい魔力で封印されてしまった開かずの遺跡だったと言う。



Reconstruction of the kingdom 


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