Reconstruction of the kingdom第15話


そんな幹部4人がこの状況下の中で戦いを続けている別の場所でも、

騎士団長のローエンや副騎士団長のルイス、それから宰相のジェバーも同じく

至る所から何時の間にか城内に侵入して来ていた謎の集団と戦いを繰り広げている。

その戦いが続いて行く中で、良く良く見てみると指示を出しながら戦っている人間が

何人か居る事に幹部の4人は気がついた。どうやら部隊長らしき男達の様だ。

しかも、これまた良く見てみると敵は大体軽装だ。つけている防具も肩当てに胸当て、

それから膝当てと言った物位で至ってシンプルな装備に留まっている。


とは言うものの私兵団の装備に関しても特に謎の集団とそんなに大差は無い。

戦場に出ている訳でも無いし、そもそも王宮騎士団や近衛騎士団と違って

私兵団においては動き易さを重視してそこまでの重装備をしていなかったのである。

それが逆に功を奏しているらしく、重装備で動きが鈍ると言う事も無い様で

この状況下の中でも迎撃が可能になっていた。

しかしそれ以上に気になるのはやはり、どうしてこの謎の集団がこの様にして

いきなり城内に入り込んで来る事が出来たのか、と言う事である。

警備態勢は完璧だった筈だし、実際に式典が終了するまでは何事も問題が無かった。


(だとすると、こいつ等の狙いは式典じゃなくて……!?)

レーヴァは頭の中で線が繋がりそうになりながらも、敵に襲い掛かられているので

その思考を中断せざるを得なかった。

槍で相手の胴を薙ぎ払ってそのまま槍を回転させ、しっかりと相手の喉を一刺しする。

(こいつ等、一体何処から湧き出て来やがったんだ!?)

同じくこの謎の集団の侵入経路が気になっていたジレフィンは、ある1つの行動に出る。

「おいヘーザ、手伝ってくれ!!」

「えっ、何を!?」

「こいつ等の侵入経路を押さえる! 幾ら片付けてもキリがねぇぜ!!」

「わ、分かった!!」


さっきから何人片付けてもまだまだ終わりそうな気配がしない。だとすれば元の侵入経路を

絶つ事でどうにかなるかもしれないとジレフィンは考え、この場をレーヴァとシャプティ達に任せて

頭の切れるヘーザと共に行動を起こし始めた。

「何か気がついたの? ……僕もうすうす気がついてはいるんだけどね」

「そうなのか?」

「ああ。でもジレフィンの考えから先に言ってよ」

そう言われ、敵の攻勢が止んできた所でなるべく手短にジレフィンはヘーザに考えをぶつける。

「分かった。俺が考えるに、こうして城内に潜入出来るルートは限られている筈だし俺達

騎士団員はそれを把握した上で警備態勢を作り上げた。それは式典が終了するまで

変わらなかったし普段から各出入り口は警備もしている。でも、奴等は明らかに出入り口

じゃない所から入って来ていると言う報告をさっき俺は受けている。つまり、俺達が知らない

出入り口があるんじゃないか?」


それを聞いたヘーザは口元を笑みの形にした。

「なかなかジレフィンも考えるんだね。僕もそこまでは同じだ。でもそれ以上に僕が考えている事は

もう1つ。襲撃をかけているこの人間達の出入り口を突き止める方法だ。それは単純に

この襲撃者達はその知らない出入り口があるにしろ、そう言った場所を通らなければ

ここには入り込めない訳だ。だとすればその出入り口を突き止める方法として、より多くの

襲撃者達がやって来る方向に進んで行けば自ずと出入り口が分かるって事になる」

「成る程な、流石は未来の軍師って言われる位のヘーザだ。だったらさっさと終わらせるぞ!」

「了解」

テンションが上がるジレフィンと、冷静に返事をしたヘーザは再び敵を倒しながら進んで行く。

この王国の騎士団員として、ここの王城だけは絶対に落とされる訳には行かない。

そして元を絶つ事が出来るのは今行動を起こしている自分達であると言う強い気持ちを

それぞれ胸に秘めながら。


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