Reconstruction of the kingdom第13話
その小柄なレーヴァは王宮騎士団から私兵団へと移籍し、結果的に
両方の団長を務めていたカルヴァルの反乱作戦に加担する事になる。
貴族の出身であった彼はカルヴァルが皇帝になる事に賛成していた立場であり、
孤児から新たな皇帝が誕生する事でイディリーク帝国の未来が危ぶまれる事を
物凄く気にしていたからであった。
しかしその反乱作戦は失敗に終わり、父と母もその戦いの中で殺されてしまって
ケイナーク家も反乱作戦に加担した他の貴族達と一緒に倒れてしまっただけで
無くレーヴァも国外へと追放される。
今では当然追放されたレーヴァはそのままラーフィティア王国へと移り住んでおり、
この王国騎士団にイディリーク帝国の時から引き続きカルヴァルの元で働く形で
ついて来ている。同じく王国騎士団の幹部であるシャプティとは割かし気が合う
様子であり、今ではシャプティとコンビを組んでこの状況でも一緒に戦いを繰り広げている。
まだこうして立ち上がって時間が余り経っていないこの新生ラーフィティア王国を早々に
潰される訳には行かないとばかりに、気合を入れてレーヴァは襲い掛かって来る謎の
軍勢に向かって槍を振り回しているのであった。
そんなレーヴァの相棒であるシャプティ・エフハーンは大剣を振り回して謎の軍勢と
戦いを繰り広げていた。現在30歳と幹部の4人の中では最年長であり、最年長らしく
落ち着いた性格であるのかと思いきやそうでも無い。
むしろどちらかと言えば熱しやすいタイプである。その性格が形成されたのは、彼が以前
同じく幹部のジレフィンと同じ荒くれ者の集団に所属していた事が原因だろう。
元々シャプティはイディリークの一地方の都市にある孤児院の前に捨てられていた
捨て子であり、その孤児院で育てられていた。だがその孤児院の院長が、経営難を理由に
して子供達の目に付かない裏では荒くれ者達と一緒に悪事に手を染めていた。
具体的にはまず、子供達に薬草の一種であると偽って違法薬物を栽培させていた。確かに
薬草の類である事には変わりは無いし、収穫と持ち運びに関しては全て院長が孤児院で
皆が寝静まった後にやって来た荒くれ者達と一緒にやっていたので最終的には子供達に
ばれてしまうのだが、それでも4年間は何とかばれていなかった。
しかもそのばれる原因を作ったのは院長自身であり、薬草栽培だけでは経営が苦しかった為に
至る所から金を借りていたのが原因の発端になった。何故かと言えば借りている所の何箇所かが
いわゆる闇金業者の類であった上に、その怪しい業者全てが実は荒くれ者達と繋がっていたのであった。
そもそも、経営が苦しいのでもっと稼げる手段は無いか? と荒くれ者達に院長が相談した事が
切っ掛けでその頭領から「薬物をもっと栽培すれば幾らか融資してやる」と言ったのが切っ掛けで
金を借りるサイクルが出来上がっていった。つまり、院長は荒くれ者達と闇金業者が繋がっている事を
最初から知っていたのである。
そうして自転車操業で回していたその孤児院の経営だったが、違法薬物の売り上げが足りない事に
頭領からの怒りを買ってしまった上に他の金を借りていた人間がなかなか院長が金を返してくれない
事に対して荒くれ者達に取り立てを要請すると言う強硬手段に出た。
こうして依頼主と荒くれ者達そのものの利害関係が一致したので、荒くれ者達が院長の待つ孤児院に
襲撃をかけたのであった。襲撃に関しては見せしめの意味も含めてあえて夜では無く、孤児院の
子供達が活発に活動している昼間の時間帯を選んだ荒くれ者達は、武器をそれぞれ持って
孤児院を襲撃。突入した荒くれ者達はそのまま子供達を次々に縛り上げていき、それから
院長を脅しにかかるがここでまだ縛り上げられていなかった子供達の一部が武器になりそうな物を
それぞれ手に持って反撃に出る。そしてこの襲撃が、シャプティの運命を大きく変える事になるのであった。
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