Reconstruction of the kingdom第12話


彼を私兵団に引き抜いたまでは良かったにしても、何故その彼を同じ様な

仕事にカルヴァルが就かせたのかと言うその理由は凄くシンプルな物であった。

私兵団は体力勝負な一面があり、当然そんな組織なので体力自慢の者達が多く、

後方支援の人手不足が悩みの種だったからである。

だからこそ、弓使いの人数は足りていたが彼の様に後方支援として作戦の立案や

スケジュールの調整等と言ったデスクワーク関係の人間が少ない事が彼を引き抜く

要因になった。実を言えばヘーザ以外にも同じく後方支援関係で引き抜かれた

人材は多く、彼1人だけでは無かったのであった。


そんな彼はローエンやルイス、ジレフィンとは違って当初は反乱作戦に加担する

気は無かった。そもそも反乱作戦の事すら知らず、当初はダリストヴェル山脈の中に

潜む盗賊達の討伐作戦と言う名目で作戦立案に加担させられていたのである。

なので反乱作戦とは知らされずにあのダリストヴェル山脈の中の作戦を立てていた事に

なり、気がついた時には完全に帝国兵士部隊や近衛騎士団達と敵対する破目に

なってしまっていた。

その計画を立ててしまったので引き返す事が出来なくなった彼は、もう半分破れ

かぶれで帝国への反乱に加担する事になってしまい、最終的にその作戦は兵士部隊の

ラルソンやジアル、近衛騎士団のローレンやジャックス達の裏をかく作戦によって失敗に

終わってしまう。そうなってしまった後はカルヴァルを始めとした王宮騎士団員達や

私兵団の面々はこうして国外追放になり、ラーフィティア王国に逃れて来た。


当然実家からも「もう帰って来るな」と言う通達を受けているヘーザは勘当された事になり、

今ではこの新生ラーフィティア王国騎士団が彼の全てになっている。

だからこそ自分の居場所を壊される訳には行かないと言う事で、2階へと続くエントランスの

階段の上から玄関より入って来る謎の襲撃者達にその卓越した弓のテクニックを存分に

発揮して1人、また1人と確実に射止めて行く。

当然ジレフィンとは離れた場所で戦う事になっているが、今の状況では仕方が無いだろうと

言う事でとにかく敵を倒す事に集中していた。



レガリア城の外でも戦いが繰り広げられているこの状況で、何としてでも王都の制圧を許すまいと奮闘している

騎士団員達は大勢居る。そんな騎士団の中の幹部の1人で、私兵団時代は赤い上着に身を包んでいた

黒髪の槍使いがこのレーヴァ・ケイナークである。

幹部の4人の中では最も小柄なのだが、その分のリーチを補う為にメインの武器に長い槍を装備しているのが特徴だ。

彼はジレフィンと同じく貴族出身だが、ジレフィンとの違いはイディリーク帝国の貴族出身だと言う事。

そしてレーヴァが生まれ育った家ではカルヴァルと同じく父親が王宮騎士団員だった事が共通している。

それ以外にも彼の母親もまた王宮騎士団の団員だった事で2人の背中を追いかけて、最初はその王宮騎士団に

16歳の時に見習いとして入団し、その後に正騎士に18歳の時に昇格してからは魔物討伐や盗賊達の暴挙の

鎮圧等で戦果をどんどんと積み重ねる。


彼は真っ直ぐな性格で礼儀正しいのが特徴。またストイックな面もあり、武器の鍛錬を始めたら最低でも

2時間は集中して鍛錬する為に周りが見えなくなりがちなフシがある。そんなストイックさをカルヴァルに買われて

今から4年前の24歳の時に私兵団にスカウトされた彼は、相変わらずそのストイックさを武器にして

私兵団の中でもトップクラスの実力を身につける様になって行く。

小柄な身体を逆に利用し、素早い動きを軸にして一気に相手を串刺しにして行く戦法が

彼のスタイルであり、主に素早い動きで乱戦を駆け抜けるのが得意だ。

ただし、メインの武器で長槍を使うとは言えども体格が小柄故に距離感を誤ってしまう事も

珍しくは無い。この辺りはどうしても改善しにくいポイントとなっているのが彼の今の悩みだった。


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