Outsider fighting Quest第8話


「・・・あいつはどこへいったんだ・・・?」

この壁はそこまで厚い物でも無いらしく、フェレークのそんな独り言と足音が壁越しにも聞こえる。

鼻で息をして、意識を壁の向こうの足音と気配に集中させる大塚。

が、物事は早々上手く行かないものらしい。

大塚は足音が遠ざかっていったのを確認し、警戒しながら足を動かした・・その時!!

「・・・!!」

大塚の目の前スレスレに、フェレークのロングソードの刃が飛び出してきた。

どうやら気がつかれてしまったらしく、その刃が引き抜かれる。


(・・・・・・)

いけるのか・・と思いながらも大塚はもう1度歩を進めようとしたが、またもやギリギリを刃が掠める。

(うお、くっ! おあ!)

連続して刃が突き立てられ、ギリッギリでそれをかわした大塚。壁の向こうのフェレークは

ファルテレオに呼ばれたらしい。

「フェレーク!!」

「っ、なんだ?」

今度こそフェレークの足音、そして気配が遠ざかっていくのを確認し、ゆっくりと通路から出て

フェレークがいるかも知れない方向とは反対方向へと足を進める。

どうやら気がつかれた訳では無かったらしく、ただ単に何らかの気配をフェレークが感じてロングソードを

突き立ててみたもののあてが外れた。そしてファルテレオが何かを見つけて彼を呼んだだけらしかったので、

大塚は危機一髪だった。


そうしてついに階段を発見、1階部分には特に何も見当たらなかったので、残りは2階だろう。

(ここに何も無かったらアウトだ)

何か見つかってくれなければ困る。それこそ小さなヒントでも良い。だから俺はここに来たんだ。

その思いが大塚を焦らせる。

そんな思いを胸に抱きながら、大塚は2階部分を探索。すると1つの広間のような場所に出た。

(ここは・・・?)

壁画らしきものや、窓枠の残骸が壁に残っている。


そして部屋の中には大きな柱が何本も。何かのイベントホールか何かだろうか。

(とにかく調べられるだけ調べてみよう。何かヒントになる物があるかも知れないからな)

そう思った大塚は、まずは壁画らしき物がかかっているところへと早足で近付いていく・・が、その瞬間

柱の影から出てきた足に側頭部を蹴り飛ばされた。

無言のまま地面に叩きつけられた大塚はそのキックを繰り出してきた人物の顔を見る。

その人物は勿論格闘が得意な・・・。


「遂に見つけたぜ、こんなところにいたとはな」

どうやらここに居るのは彼だけらしい。

「タフだな・・・まだやられ足りない様だな」

「あんたを倒すまで、俺は倒れないぜ」

跳ね起きで起き上がった大塚はすぐさまミドルキックを繰り出すがそれをガードされる。

続けてキックボクシングでは全く使わない回し蹴り、逆に良く使うローキック、前蹴りなども繰り出すが

避けられるしブロックもされる。さっきのバトルである程度の攻撃は知られているらしい。

今度は大塚が劣勢に追い込まれて行く。

右のストレートパンチを掴まれてしまい、動きを制限された状態で連続キックを腹、胸、顔と食らう大塚。

更に連続回し蹴りから下段回し蹴りで足払いをかけられて大塚は床に倒れ込み、前から首を

右手で掴まれて無理やり引っ張り起こされた。

「ふっ、俺の方が一枚上手のようだな」

「うぐぉ・・ぐ・・うう・・ぐ・・・!」

何とかその手を払いのけるも、更に上半身のパンチの雨を叩き込まれてダメージが蓄積して行く。

そして一瞬意識が遠のいた所で、ファルテレオがストレートパンチを繰り出すのが見えた。


(く・・・っ!!)

咄嗟にその右手を左手の拳全体で掴んで思いっ切り捻り上げ、突き飛ばして一旦距離を取る。

ファルテレオが今度は右のハイキックを放つも、そのハイキックを今度はキャッチして思いっきりスネに肘を落とす。

いわゆる「弁慶の泣き所」だからかなり痛い。

「うぁあぁっ!!」

そのまま空いている右足でファルテレオの左足を蹴りつけ、右足を思いっ切り引っ張って無理やり前後に180度の開脚。

関節を無理やり開かされるのは「股が裂けても言わない」と言われるくらいの苦痛だ。

そして悶絶するファルテレオの顔面目掛けて思いっ切り前回し蹴りを振りぬき、そのまま今度こそKOすることに成功した。


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