Outsider fighting Quest第5話


そんな事も知らない大塚は馬車を使って遺跡の近くの街まで行く事にしたのだったが、

その馬車の行き先はどうやら別の南の街へと固定されているらしかった。

でも南に向かう事が出来るのであれば大塚は構わないとの事だったので、馬車の代金を

払って南へと向かう。

(あー、色々あったな・・・・)

まだ余り時間も経ってないけど・・とは思うものの、考えてみれば深夜まで及ぶ残業も

していた事を身体が思い出したのだろうか、大塚は馬車の御者に起こされるまで馬車の中で眠り続けた。

その南の街についた大塚はまずは宿を取って一泊。出てくる料理に舌鼓を打ちながら「この世界の」夜は更けて行った。


そうして夜も明け、情報収集を再びしてから遺跡へと向かう事にする。備えあれば憂い無しだ。

だけど、その情報収集は良い情報ばかりでも無かったらしい。

この街では南の遺跡に関しての目新しい情報を手に入れる事は出来なかった。まだ距離があるからだろうか?

初日の街で南の遺跡に関しての情報が回っていたのは、恐らく今の街よりもはるかに栄えていたから

情報も回って来るのが早かったんだろう、と大塚は納得してみる。


でも、それでも南へと向かう手段があればそれで良い。そう思って大塚は何とか馬車を見つけた。

だけどその馬車は乗り合い馬車では無く、荷物を運ぶための馬車だったらしい。

そこで荷物の積み込みを手伝う事を交換条件にして、遺跡から歩いて30分位の街まで乗せてって貰う事に成功した。

だが、その街で大塚はとんでも無い事に自分がなっていると言う事を知ってしまう。

「あー・・・疲れた・・・」

重い荷物が多かったし、まだ深夜残業の疲れが身体に残っていたらしく大塚はこの街でも宿を取って休む事にした。

40代になると、真面目に身体から疲れが抜けにくくなってくる。

歳を取るのはしょうがないけど、嬉しい事では無いよな・・と思いながら大塚は宿のベッドで眠りについた。


そしてその次の朝。この世界に来て3日目。

大塚は聞き込みを始めたのだが、街の中に貼られている1枚の紙を見て目を見開いた。

「な、何だ、これは・・・・」

大塚はその紙を引っ剥がしてプルプルと震える。

それは何と手配書。しかも、自分の特徴が描かれている・・・と言うのには遠い物だったが、

それでもこの似顔絵の色合い・・・特に2色の髪の毛の色や黒い革のジャンパーは明らかに自分だった。

「えっえっ・・何で?」


何で自分が手配されているのか分からない。

文字が読めない分、その紙が手配書であるかどうかも実の所では微妙な所だったが、手配書が回っていると

なれば自分がここに居るのはまずい。

とにかく、自分の手配書が回っていない所まで身を隠したい。いや・・だけどその前に、自分のこの状況を知りたいと

思う気持ちもある。しかし酒場等は危険なので、別の角度から聞き込みをしてみる。

その聞き込みの方法とは・・・?


「この街で、何か大きな事件でもあったんですか?」

と聞く事だった。遠回りに聞く事で、自分の手配書の情報に辿り着けるかも知れないと思ったからだ。

そして、その思惑は見事に上手く行った。

何でも自分が最初に辿り着いたあの街で、異世界から現れたと言う人間が居ると言う事で話題になっているらしい。

それを聞いて、大塚は即座にあの男を思い浮かべた。

(フェレークか・・・!)

口止めしたのになー・・と思いながらも更に聞き込みを続けると、どうもそれに関連してやばい状況になっている様だ。

「へ、へぇ・・その異世界から来たって人間を研究対象にする為に国が騎士団を動かしたんだって?」

平静を装っていたが、内心は冷や汗だらだらだ。

なので足早に、大塚はこの街から出てまずは遺跡へと歩き出した。


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