Outsider fighting Quest第4話
「ここに色々隠してたんだよ。普通に歩いてるように見せられただけでも大成功だろ」
彼が財布やキーを隠した場所、それはパンツとズボンの間の隙間だった。
一歩間違えれば変態扱いされたって仕方が無かった。ここに隠せる位の小さな物ばかりで
良かったよ、と大塚は安堵の息を吐いていたが、それを見た2人の反応はと言うと・・・。
「・・・はは、なるほどな」
「そういう方法で乗り切るとは・・・あんた面白い奴だな」
若干引かれた気もしないでもないがこの際気にしない。これで何とか街の中に入る事が
出来たので、大塚は聞き込みに向かう事にした。ちなみに2人はこの街でやる事があるらしいので、
一旦別れて1時間後くらいに入り口で待ち合わせだ。
そんな別行動を取った大塚だったが、聞き込みの中で気になる情報を耳にする。
「・・・・遺跡?」
何でも、この街から2日ほど南に行った所にある場所で古代の遺跡が新しく発見されたらしい。
遺跡と言えばRPG、遺跡と言えば新発見? と思った大塚は旅のあても無かったのでそこへ向かう事に決める。
ただし、先立つ物がやっぱり必要だった。それは金だ。
財布の中にある金が果たして換金できるのかどうか、と思っていた大塚だったが・・・。
大塚は換金所へと向かい、とりあえず財布の中身で何か換金出来そうな物が無いかを見てもらう。
すると、意外にも食いつかれたのが・・・・。
「えっ、これ?」
まさかの展開。大塚の財布の中から出てきた、今の1人暮らしをしている家の近くにある
スーパーのポイントカード(ポイント期限切れ)がなかなかの値段だった。と言う訳でそのポイントカードを換金して、
1週間くらいなら楽に暮らせそうな金を手に入れた大塚だったが内心複雑な気分だった。
(良いのか・・ポイント期限切れてるんだぞ・・・)
ポイントの期限切れてるならまぁ・・良いか、と強引に自分を納得させた大塚はフェレークと、その仲間のファルテレオと
名乗っていた男の元へと向かった。
そうして戻って来た大塚の持っている札束を見て、2人はそれぞれリアクションを見せた。
「お・・・おい、こんな金、どっから得て来たんだっ?」
「す、すっげぇ・・・やっぱあんたすげぇ奴だ・・・」
「ああ、ちょっと、な。別に悪い事した訳じゃ無いから気にしないでくれ」
だけど、その言葉に異世界人の2人は大塚への怪しさを芽生え始めさせていた。
とにもかくにも、大塚はこれで金の心配は無くなったので南へと旅をする事が出来る。
が、どうやら2人とはこの街でお別れのようだ。どうやらやる事が出来たらしい。
「世話になったな」
大塚はフェレークに手を差し出し、フェレークもそれに応えた。
「あぁ、ここからは1人で頑張るんだな」
「勿論」
そう言って頭を腰から下げてお辞儀をし、大塚は1つだけこんな事を聞いてみる。
「とりあえずは南の方に向かってみようと思う。で、何か馬車みたいな移動手段ってあるかな?」
その問いかけにはファルテレオが答えた。
「あぁ、実際にあるぜ、そいつに乗って行くと良い」
「分かった、どうもありがとう」
ファルテレオとも握手を交わし、大塚は足早に馬車の乗り口へと歩き出した。
しかし、その時大塚は自分が大きなミスをした事に気がついていなかった。
そしてそのミスが、彼の身を危険に晒す事になる事も勿論知る由も無かった。