Outsider fighting Quest第3話


「へぇー、旅をしてるのか」

フェレークの目的を聞いた所によれば、彼は自分の存在意義を見つける為に

この世界中を自分の剣術を頼りにして旅をしている様だ。

「良いんじゃないのか、そう言う目的があって」

この歳になってしまうともう何だか燃え尽きて行くだけだからなー、と大塚は何処か自嘲気味に続ける。

そんなたわいも無い話を続けながら30分ほど歩いていると、遠くにようやく街が見えて来た。

「あれが街だな」

正直この世界の事はまだ何も分かっていないのだが、例えば街に入る時に

持ち物検査とかがあると面倒な事になりそうだ。

その辺りは如何なの? とフェレークに聞いてみると彼はこう言った。

「街によってはするとこしないところがあるが・・・あの街は、どうやら持ち物検査はするみたいだな」


そのセリフを聞いて、大塚は一気に顔をしかめる。

「だったらまずい。見ての通り、俺はこの世界に居ない・・・と思うくらいの地球ファッションだから。

この革のジャンパーくらいなら何とかなると思うけど、流石にTシャツは良いとしてもスニーカーって怪しまれそうだ」

それでもこの先の街で情報収集をしたい所だ、と考えているのだがその思考が大塚の足取りを重くしてしまう。

スニーカーを脱いで裸足になるのはもっとまずそうだ・・如何しよう・・と思いながらも、とうとう街の近くまで来てしまった。

「まぁ、手ぶらなら何とかなる・・・か?」

そうだと思いたい。

何事も起こりませんように、と思っていた矢先、街の入り口の近くでフェレークにいきなり1人の男が話しかけてきた。

「よっ、フェレーク」

突然話しかけてきたその男は明らかに大塚とフェレークよりも背が高い。見た所185センチくらいはありそうだ。

「・・・・知り合い?」

大塚はフェレークにこっそり耳打ちする。が、その前に大塚の存在に気がついたその男は大塚に対して訝しげな目を向けた。

「・・・フェレーク、その男は誰だ?」

「待て、こいつは危険な奴じゃない、大塚ってんだ」

自分が危険人物扱いされているのか? と不安になりながらも、どうやら危害を加える気はない事は分かって貰えた様だった。

「しょうがない、持ち物検査を通り抜けるには・・・1つだけ思いついた方法があるんだ。

でも、人にはあまり見られたくない方法だからちょっと待ってて欲しい」


そう言って、大塚は近くの物陰へと駆け込む・・が、2分ほどで戻って来た。

「これで大丈夫な筈だ。行こう」

そうして持ち物検査に挑んだ3人だったが、大塚は何と手ぶらでそこを通過する事が出来た。

そのトリックはと言うと・・・。

「言っても良いけど、自己責任で宜しく」

その言葉に戸惑う2人。

「一体どうやったんだ?」

「あんなにすんなりと通れるとは・・・あんたすごいなっ」

「じゃあ、ちょっとこっちにきてくれる?」

そう言うと、彼は2人を街の中の物陰に誘い込む。

「余りやりたくなかったんだけど、仕方無いし」

生真面目な大塚らしくないそのやり方とは・・・・。


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