Kingdom last heir第16話


魔導師部隊の服装隊長として、アーロスの副官としても活動しているセフリス・ソディラーは

アーロスより7つ年下の27歳。どちらかと言えば若手の部類に入る魔導師となる。

魔力の量は一般人よりも約1,5倍程多い位だが、彼には才能があったらしく3歳の時に簡単な物では

あるが魔法を使えた事によって、そこから彼の魔導師としての人生がスタートした。

通常、大体7歳位から魔法を使える様になる物なのだが彼の場合はそれが早かった為に

才能を見込まれて普通の勉強もしながら魔法の勉強も出来る学院に7歳の時に入学。

以来、その才能に磨きをかけて10歳の時には上級魔導を習得していたと言うエピソードもある他、

詠唱のスピードが総隊長のアーロスよりも素早く終える事が出来る位速いのでその詠唱の速さを生かした

魔法の使い方を習得して日常生活でも戦場でも活躍している。


そんなセフリスは明らかに怪しい素振りを見せていた2人の人影を追いかけている。

爆発した倉庫も気になるが、多くの部下が居るのでそっちは大丈夫だろうと判断し

ロクウィンと共に路地裏を走り抜ける。

(……あれ?)

その途中でふと気がついた。メリラから説明を受けた赤毛の男って、まさか……?

そう思える程、逃げて行く片方の人間の格好は赤毛に赤いコートと言う赤ずくめの格好。

背中には赤い弓を背負っている所までメリラの証言と当てはまっている。


だが、前を走って行く2人の人間が辿り着いたのは表通りでは無く路地裏の

いかにもやばそうな若干開けている行き止まりだった。

「あー、しつっけーなー!!」

追って来た2人の方を振り向いた男達の内、眼鏡の男がそう叫ぶと同時に

いきなり懐から投げナイフを投げて来た。

「くっ!?」

そのナイフはセフリスとロクウィンの間を掠めて行き、それによって隙が出来た所で今度は

短剣を素早く取り出した眼鏡の男がセフリスに向かう。


一方の赤がトレードカラーの中年男は広場の角に大きく下がりつつ、背中の弓を持ち出して

素早く矢をつがえてロクウィン目掛けて放って来る。

「ちっ!」

それを素早く転がって回避しながら槍を取り出そうとしたが、すでに視界の先には次の矢を

つがえる男の姿が映っていた。

(くっ!?)

矢をつがえるのが恐ろしく速いだけでは無い。次に放たれたその矢もまた、ロクウィンの

立っている場所を正確に狙って来る。


それもまた間一髪で回避し、ゴロゴロと転がりながら矢を回避するロクウィンだが

視線の先には弓使いの姿は無かった。

その代わり、立ち上がった瞬間に後ろから物凄い殺気が膨れ上がる。

「!!」

咄嗟に自分の勘だけで槍を背中から抜きつつ振り返って多少不恰好な姿勢でガード。

後ろから仕掛けて来たのはセフリスの方に向かって行った筈の眼鏡の男だった。

「流石。だけどまだ終わらないよ」

眼鏡の男はどうやらロクウィンに負けず劣らずの実力者の様であり、槍の間合いの広さを

逆手に取ってなるべく懐に飛び込みつつ攻撃をする。超がつく程の接近戦ならまともに槍を振るうのは難しい。


セフリスはそんな2人のバトルに魔法で援護しようとしたが、詠唱が終わる前に顔面スレスレに

赤髪の男から矢が打ち込まれる。

(くっ……速い!!)

なるべく短い詠唱の魔法で応戦してはいるものの、魔力が無くなっていけばそれだけ自分が不利になる。

(だったらしょうがない、あれを出すしか無いか)

まずは詠唱時間の短い簡単な魔法で弓使いの男の気をそらしつつ、徐々に接近するセフリス。

そのまま近くまで来た時に、技と1発だけ中威力の水魔法を弓使いの男の近くを狙って当てる。

それはかわされてしまったが、放たれた水の弾は大きく水しぶきを上げて男の視界を少しだけ奪う。


「くっ!」

その水しぶきで視界が遮られた瞬間、水の弾を放つとほぼ同時にジャケットの下からセフリスは

隠し武器の短剣を取り出しておき、男の足目掛けて投げつけた。

「ぐおああああっ!?」

完全に水しぶきで反応が遅れた男はそのナイフが足に刺さり悶絶する。

そしてもう1本の短剣を懐から取り出して、一気に男の懐へ飛び込み男の心臓を一突きにして

このバトルはこのセフリスのセリフで幕を下ろした。

「魔法を使うだけが、魔導師じゃないって事だ」


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