Future World Battle第2部第28話


少し時間は戻り、レイジが如月と戦っていた一方ではニコラスと真理がバトルを続けていた。

「よっ、はっ!」

何とか金的蹴りから立ち直ったニコラスは、自分の体躯を活かして真理に向かう。

男と女だと身体つきが違うので、そこを上手く利用しようと言う作戦だ。

真理は素早い動きが得意な様で、素早い動きの格闘術をニコラスに繰り出す。

下段回し蹴りを繰り出して来てニコラスはそれをジャンプして回避。そこからパンチの応酬になるが、

パワーではニコラスの方が勝っている様なので真理の腕を弾いて彼女の胸に右ストレート。

真理が怯んだそこに前方空中回転蹴りを振り下ろす。

「ぐえっ!?」

真理もなかなか速い動きを見せているが、ニコラスにはパワーがある。

スピードでは劣るものの、パンチやキックをそのまま身体で跳ね返してしまう事だって可能だった。


(多少の実力差ならパワーで相殺出来る。あり過ぎても問題だが、体格はあるに越した事は無い!!)

真理の回し蹴りを屈んでかわしながら、その真理の軸足を腕を伸ばして掴んで払いのける。

「うおあ!」

地面に転がった真理の身体に、ニコラスは物凄い開脚からのかかと落としを繰り出すがこれは避けられた。

ギリギリで回避しつつ立ち上がった真理はニコラスにパンチ。

だがニコラスは真理のその右のストレートパンチを受け止めてから、逆に真理の胸に右のパンチを入れる。

「ぐっ……?」

怯んだ真理の胸に続けて右、左のパンチ。

更に顔面に左、右とパンチを突っ込んでそのまま勢いをつけて小さくジャンプしつつ、右の回し蹴りを真理の腹に。

「ぐふ……!」

更に右のミドルキックで真理を蹴り飛ばし、さっきは当たらなかったかかと落としを今度はジャンプして

空中から真理の胸に振り下ろした。

「ぐがっ……!?」

真理は胸から上の痛みで戦闘続行不能になり、その間に彼女を手錠で拘束したニコラスが何とか勝利した。


(あー、結構手強かった……って、マドックは!?)

如月とのバトルを制してやって来たレイジと共にマドックの方を見てみると、何やらまずい状況になっている様であった。

何故なら倉庫の中では、大勢の人間が敵味方入り乱れて何時の間にかバトルをしていたからである。

先程マドックとニコラスが呼んでいた応援の警官隊と、同じく先程この窃盗団が呼んでいたのだろう

ヴェハールシティのギャング団が入り乱れているのだ。

この倉庫は何台もの車を収納出来るスペースがある以上、かなり広い。

その中の大乱闘と言う事で、所々から銃声が聞こえて来るし倉庫の外からも爆発音や叫び声等が聞こえて来る。

このままでは先程のストリートレーサー達に被害が及ぶ危険性がある為、ニコラスとレイジは警官隊に加勢する事にした。


そんな中でマドックは1人、また1人と人身売買組織を倉庫の中から外にかけて潰していた。

なるべく1対1に持ち込み、自分が得意とする関節技と投げ技を駆使するバトルに持ち込む。

それから倉庫の中にある大きな棚を敵に向かって倒したり、フォークリフトで持ち運ぶパレットを思いっ切り

大勢の敵に投げつけたりして多勢に無勢を何とかひっくり返そうとして行く。

こうして今戦っている訳だが、1人1人をきちんと戦闘不能にする為に関節を外したり骨をへし折ったりしているのだ。

例えば今向かって来た男には右のパンチをかわしてその腕を取り、逆方向に肩の骨をへし折ってから胸に

前蹴りを入れてぶっ飛ばす。

更にプロレス技のドラゴンスクリューからそのまま相手の足首を取って逆方向に折り曲げたりもしたり、

ハイキックをかまして来た相手の足を取って、股関節を限界以上まで開かせてそこで制御不能にさせたりと

なかなかにえぐいテクニックを最大限に駆使して行く。

逆に言えばこうでもしなければ相手がまた復活して来る可能性があるので、その可能性を出来るだけ

ゼロにしておきたい。


そうして1人、また1人と潰して行くが、京はこの混戦状態を利用して何時の間にか倉庫の中から姿を消した。

(奴は何処だ!?)

この混戦状態の中で辺りを見渡してみるが、どうやらあのリーダーは倉庫の外へと逃げてしまったらしい。

このままではそのリーダーの京に逃げられてしまう。

それだけはこのヴェハールシティを守る刑事として絶対にあってはならない事だ。

倉庫の外に出てみるとまだあのRX−7が置いてあるので、車を使って逃げたと言う事は無いだろうと

辺りを見渡しながらマドックは考える。

これだけ大勢の仲間が居るのだから、何処かに身を潜めて仲間の手引きで先に逃げると言う事も

十分に考えられる。そうなれば追跡不可能だ。


しかし、その心配は杞憂に終わった様である。

銃撃戦を大きく迂回して回避しながら、人が多く居る方には向かわないだろうと言う事で

ストリートレーサー達の居る場所を避けて反対方向へと向かうマドック。

遠回りにはなってしまうが、そっちからでも港の出入り口に向かう事が出来る。

だから自分だったらこの場所を部下達に任せて逃げ、適当な所で手下に迎えに来て貰ってそのまま

逃亡する……と思っていると、やっぱり考える事は同じだった様だ。

(居た……!!)


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