Future World Battle第2部第29話
「貴様、止まれ!!」
マドックが逃げる京の背中に対して大声を上げると、京はゆっくりと足を止めて後ろを振り返る。
その手には倉庫の中のバトルでマドックが躍人に投げ飛ばされた時に回収したのだろう、
彼の愛用しているシルバーのハンドガンのS&W M645を左手に握って……!!
「くっ!!」
咄嗟に横っ飛びで緊急回避をするマドックの、今の今まで彼が立っていた場所に
そのM645から撃たれた銃弾が火花を散らして食い込んだ。
「俺を追うな。俺をこのまま追いかけたらどうなるかと言う事位は分かるっしょ?」
更に彼の右手には、さくらの持っていた物であろう日本刀が握られている。
そう言われてもマドックも諦める気は無い。
「俺はこの街の刑事だ。お前みたいな奴からこの街を守るのが俺の仕事だ」
「クールだな。だけど俺だってな、こんなちっぽけな街で捕まる訳には行かねーんだよ。
世界は広いんだ。今までも、そしてこれからも世界を股にかけて仕事を続けてやるさ」
そう言い終わり、先に動いたのは京だった。
京は相手の攻撃を待つ誘い受けのスタイルかと思いきや、倉庫の中で自分から向かって来たと
言う事を考えると意外と攻めて来るタイプらしい、とマドックは分析する。
しかし黙って突っ立っているマドックでは無いので、突っ込んで来る京をしっかりとかわす。
やっと追い詰めたとは言え、日本刀相手ではリーチ的に厳しい物がある。
一先ずは京の背後を取りたい所だが、やはり窃盗団のリーダーと言うだけの事はあって
なかなか背後に回らせようとしない。
だったら一旦距離を置いて……と思えば今度はハンドガンによる銃撃までやって来る。
(厄介だ)
遠距離も近距離も出来る万能タイプなら、自分は超接近戦に持ち込むしか勝てそうに無い。
何か使えそうな物は無いかと思っているマドックだが、周りを見渡してもそうそう運良く
鉄パイプや剣等が落ちている筈も無い。
マドックは愛用の銃も取られてしまっているので格闘術で対抗するしか無い。
しかし港にはクレーンの土台になっている太い鉄柱や大きなコンテナがあるし、ロープ等の小物が落ちている。
それ等を上手く使えれば……とマドックは思うのだが、なかなか京も引っかかってくれそうに無い。
だったらこっちも攻めるしか無いとばかりに、まずは京の隙を突いて接近。
日本刀の攻撃をギリギリで回避し、一気に懐へと潜り込む。
「っ!!」
そのまま京の右腕を素早く取って捻り上げ、一旦京の手から日本刀を落とす事に成功したマドックだったが、
その日本刀を落とした事による油断が生じて右腕のロックが緩んだ所で一気に京は反撃に出る。
「ふっ!」
腕を振り払って素早くマドックの懐へと飛び込む京。
そこからマドックに対して膝蹴りをかまして来るが、マドックはそれをしっかりブロックして
逆に京の膝を抱えてそのまま持ち上げ、背中から地面へ叩き付ける。
そして押さえ込もうと思ったが、京は上手く転がって押さえ込みから逃れる。
マドックは立ち上がって来た京に対して上手く合わせてミドルキック。
その次にダッシュからのジャンピングニーを繰り出すものの回避される。
だがこれはマドックも読んでいた事で、そのままの勢いで後ろにあったクレーンの鉄柱に向かって
ジャンプし、足で鉄柱を蹴って逆方向に方向転換。
上に飛んで回るのでは無く、そのまま蹴って戻って来る三角飛びだ。
「ぐあ!」
ミドルキックをかわした直後の京はギリギリで避けられずに、その胸にマドックのキックがヒット。
すぐにマドックはもう1度京の懐に突っ込んで彼の首に肘を入れ、頭を掴んで背負い投げ。
……が、上手く京は背負い投げから回転して立ち上がって反対にマドックを首から投げる。
「うぐ!」
背中から叩きつけられたマドックは京にヘッドロックをかまされるも、自由な両手で京の両足を
両手で抱え上げて脳天から地面に叩き落とす。
「がっは!!」
頭から落ちた京は悶絶するもマドックには関係無いので、京の背中の上に乗って脇腹の下から
両方とも手を差し込み、そのまま背中を反らせてロックしようとした。
「っ!?」
だけど京は日本刀を起き上がり様にマドックに突き出し、それによってマドックは身を退く。
その間に素早く立ち上がってハンドガンを京は撃つが、マドックは銃口の向きを勘で察知して
素早く転がって回避。転がった先にあった京の両足を掴んで、ジャイアントスイングをかまして
盛大にコンテナに京を背中からぶつける。
「ぐぇ!!」
今のは流石に効いた様で、京の動きが明らかにスローモーションになる。
そんな京を見たマドックは、うつ伏せに倒れた京の肩を素早く引っ掴んで立たせてパンチの連打を入れようとする。
しかし京はその肩を掴む両手を肩を素早く動かして弾き、コンテナの方に向かって両手で突き飛ばし、
距離が開いた所でさっきのお返しのミドルキック。
そしてハンドガンを突きつけて終わり……かと思いきや、突き飛ばされたマドックは背中にコンテナが当たる瞬間に
手と足を使って反動をつけて京の方に身体を跳ね返し、一気に接近した所で顔面に全力のストレートパンチ。
「ごあ!!」
思いがけないカウンターアタックに京の身体がもう1度地面に倒れ、今度こそと思いマドックは京を立たせて
京の腹に5発ボディブロー。
続けて右のストレートをもう1度京の顔面に入れ、最後に左のフックパンチで京の身体をぶっ飛ばす。
「ぐおっ!!」
京はきりもみ回転しながら地面に叩き付けられ、起き上がろうとしたものの身体に力が入らず断念。
マドックの勝ちだ。
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