Run To The Another Worldエピローグ


それぞれの国の騎士団員や警備隊員達にアイリラークとゼッザオの後始末を任せて一旦

地球人達と騎士団長達、それから拘束したエスティナ含む『闇より現れし龍撃剣』のメンバー達も

一緒になって世界会議が行われるヘルヴァナールの中央にある集会場に転送装置で行く。

そこで世界各国からその40人が尋問を受ける事になった。そして40人全員の尋問が終了し、

後は処遇をどうするかと言う事に。幾ら世界を危機から救ったとは言え各国への不法入国から始まって、

城への不法侵入、傷害、公務執行妨害、逃亡補助、器物破損等の様々な罪を地球人達のメンバーは

起こして来た訳である。だけど結果的にこうして新たな文明を発見する事が出来たし、旧ラーフィティアの騎士団や

傭兵団であり盗賊団でもあったバーサークグラップルやゼッザオの世界革命軍の奴等を壊滅させる事も出来た。


そしてイークヴェスはと言うと、地球人達には魔導が通じないので結果的に人間の姿で戦うしか無かった。

それでも勝てるだろうと勝負の展開を読んでいたし、実際に7人相手でも自分が有利だった。だがそこから

地球人達が力を合わせて自分を倒してしまった事によって一気にモチベーションがダウンしてしまい、こんなんじゃあ

世界を手中に収める事は出来ないと言う気持ちが芽生えてしまい、世界中で暴れ回ると言う事はもう2度と

考えないと言う約束を地球人達とヘルヴァナールの連合軍の前で宣言したのであった。

そう言う経緯で、今ではイークヴェスも各国の王と一緒に話し合いに参加出来ているとの事である。

「俺達の処分、どうなるんだ?」

「結構長い時間話し合ってるみたいだな」

「もう1時間にもなりますね」

「全部の国でこうして大騒動をやらかして来たからね」

「揉めるのも分かるぜ」

「後は向こうに任せるしか無いか」

「イークヴェスも大事にならない様に話しに行っているからなぁ」

それぞれのチームのリーダーは、自分達の処分が如何言う様に下されるのかと言う不安で一杯一杯だった。

勿論リーダーだけでは無く、その配下のメンバー達にも不安の色が出ていないと言う訳では無い。

自分達がこれからどんな処分を下される事になるのか、それから本当に無事に元の地球に帰して貰えるのだろうか。

もしかしたらまた新たなミッションが課せられるのでは無いだろうか? そんな思いがグルグルと一同の頭の中を駆け巡る。


……と、その時だった。

『待たせたな』

イークヴェスを始めとして、会議をしていたヘルヴァナール人がぞろぞろと会議室から出て来て勢揃いする。

「俺達の処分、決まったんですか!?」

『ああ、決まったぞ』

ハリドが詰め寄ると、イークヴェスは1つ深くうなずいて肯定の返事をした。今までの罪状と地球人達の活躍を

総合的に判断し、各国が総合で下した判決としては「それぞれの国々全てに、出来る限り地球の文明を教える事」であった。

そして期限をイークヴェスの魔力が地球人達を地球に帰す事が出来るまで溜まる1年間として定め、最後までやり遂げる事で

これ等の罪を帳消しにしようと言う事だ。


この話は、イークヴェスがあのタワーの屋上でリーダー7人に倒された後に残りのドラゴン達が

イークヴェスの元に終結した。そしてそのイークヴェスの身体から溜めに溜めた魔力をそれぞれが吸い取り、

ドラゴンの有する魔力の適性値まで減らして世界で暴れ回る事を出来ない様にしたのである。

この事もまた、イークヴェスの世界中で暴れ回ると言う欲望を無くすには効果が十分だった様だ。

しかしその時に魔力を吸い取り過ぎてしまい、地球人達を地球に戻す為にはまた魔力を溜めなければならず、

溜まるまでの時間は約1年位だろうとアサドールが言った事でこの様な判決が下される結果になった。

「それは良いけど、こちらにも条件がある」

『何だ?』

だがハリドが唐突にそんな事を言い出したので、思わずイークヴェスを始めとした各国の王は彼を見て続きの言葉を待った。

「俺達は何処の国にも属さない。古代都市アイリラークに住まわせて貰う。せめて地球となるべく似ている環境の方が、文化や

技術も教え易いと思うし」

ハリドの言葉にイークヴェスは軽く頷く。

『それは別に構わないが……そこで教えるならゼッザオにこれから各国の都からの転送装置を造るからゼッザオで教えて貰おう。

1箇所に集まって貰った方が移動する手間が省ける筈だ。全ての国に御前達の知識や技術を教えると言う約束だしな。それでどうだ?』

「ああ、良いぜ。それじゃそれで決まりだ」


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