Run to the Another World第79話


「無事だったか!?」

「ああ、あの縛った将軍に捕まったが何とか生きてるぞ!」

「なら脱出だ!」

栗山が屋上で合流してこの城にもう用は無いので、寄せ集めサーティンデビルズの5人と

ジェイノリーは元の姿に戻ったセルフォンと共に早速脱出。……の筈だったがそんな時に

また不測の事態が起こる。

「うおぁあ!?」

突然博人の悲鳴がして一同がそちらを向くと、何と一緒にセルフォンの背中に乗っていた

筈の博人の姿が忽然と消えていた。

「え、あ、あれ!?」


博人はセルフォンが飛び立つ寸前に何者かに足を掴まれて、予想外の妨害に成す術無く

屋上の地面に落下してしまったのであった。落下した所は石の地面の上だったが、セルフォンが

飛び立つ寸前だったので高さ的に大したダメージにはならないのが幸いだった。

「貴様ぁ!!」

自分を落とした人間……あの遺跡で出会ったオレンジ頭の騎士団員の男が槍を持って向かって来た。

腰にはロングソードも携えているし、恐らく色々な武器を使えるのかもしれない。

博人はそんな向かって来る団長に立ち向かう事を決意して拳を構える。

セルフォン達は他の騎士団員達が屋上に集まって来て弓で狙い撃ちされている為に、

博人の元へは迂闊に近付く事が出来ない様子だ。


しかし、そこに新たな乱入者が現れた事によって博人に勝機が見えて来る事になるのであった!!

「ジアルっ!!」

「ラルソン!」

ジアルと呼ばれた団長が、新たに屋上にやって来た……あの赤髪の男達とのバトルの時に

同じく遺跡で出会ったあの金髪頭の騎士団員に気を取られて完全に彼の方に気がそれているのに博人が

気が付いた。なので思いっ切りその間にジアルの腹目掛けて博人はミドルキック。

「ごっ!」


だが博人にも後ろからラルソンが体当たりして来たので、その体当たりを食らった博人は吹っ飛んだ。

「うおが……」

体当たりされて、運悪く地面がはがれて小さな段差になっている場所につまづいた博人は転んで腹を打ち付ける。

そんな自分の後ろではジアルと、ラルソンと呼ばれた金髪の男が話しているのが見えた。

「な、何故ドラゴンが居るんだ?」

「俺もびっくりだ。だがラルソン、まずはこの男だけでも捕まえるぞ!」

「了解、団長!」

団長と呼ばれたジアルにラルソンは慣れた口調で接している事から、この2人は

それぞれイディリークの騎士団の中でも高い地位にあると言う察しが博人にはついた。

だからと言ってこの状況ではい、捕まりますなんて言う訳が無いので博人は腹をさすりながら2人に向き直った。

「団長が相手でも、俺の邪魔をするな!」

「それは出来ないな。さ、大人しく俺とラルソン副長に捕まってくれ」

「絶対に嫌だな!!」

「なら、力ずくでも逮捕してやるぞ!!」


ジアルは槍を持って、それからラルソンは腰にぶら下げたロングソードを持って博人に向かって来た。

「はっ!」

先に向かって来たのはさっきから戦っていたジアルだったが、今度は博人がスライディングで一気に

ジアルの足元に飛び込み、立ち上がりつつ前蹴り2発でジアルを転ばせる。

「ぐう!」

一方からはラルソンが左ハイキックを放って来たが、そのハイキックはしっかりと両手で博人がガード。

それでもラルソンはロングソードを博人の胸目掛けて突き出して来る。

「りゃっ!」

ロングソードが突き出されると察知した博人はそのロングソードを屈んで避けつつ、屈んでから足のバネで

跳び上がりラルソンの右腕をバック転キックで蹴り上げて、彼のロングソードを彼の手から落とす事に成功した。


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