Run to the Another World第71話


「うぐぉ!」

「こっちも行くぜぇ……!!」

そう呟いた男はロングソードを振り被って来る。博人はそのロングソードを避け、あるいはブロックして

反撃のチャンスを窺うが、生半可なブロックをしたら逆に弾き飛ばされてよろけてしまう。

(くっそ!)

よろけて後ろに重心が掛かっている状況の博人は、咄嗟にバック転でロングソードの追撃を回避する。

「何だ御前、何でそんなに硬いんだよ?」

「ただの人間じゃねーから、俺は」

「は?」


会話がかみ合っていない。ただの人間では無い?

「じゃあそのロングソードは何だよ?」

「俺の武器だ。オラァ、どんどん行くぜぇ!!」

そう答えて再び向かって来る男。如何言う身分なのだろうか。

「うおあ!」

ロングソードを振り回し、その振り回した勢いで繰り出された左回し蹴りが博人の側頭部にクリーンヒット。

更によろけた博人の腹をロングソードの柄でど突いてぶっ飛ばす。

「ぐぶっ!?」

物凄い衝撃を腹に食らい、博人は後ろの壁に背中から少し吹っ飛んで叩き付けられる。

「うぐふぅ……」

激痛に耐えながら博人はうめく。男はそんな博人を見下ろし、再び戦いの中に加わって行った。


(負けたのか……)

自分は喧嘩では殆んど負けた事が無かったが、やっぱりきちんと武器の

扱い方を熟知している者は強いと実感しつつだらりと両手を投げ出す博人。

しかしそんな博人の手にある物が当たった。

(……!)

その手に当たった物を見た博人は、それを両手に持ってさっきの男の元へと痛みを抑えつつダッシュ。


「っさ!」

後ろからその男の頭目掛け、思いっ切り右手に握ったそれなりに大き目な崩れた壁の破片を叩き付ける。

「うごぉ!?」

変な声が男から上がったので効果は結構ある様だった。

「ぐっ……」

男は振り返って再び博人に向かって来たが、今度はその男のロングソードをかわして逆にボディ目掛けて

破片を使って硬いパンチを繰り出す。


更に右のミドルキックを博人は男の腹に繰り出した。

「ふぐぅ!」

「でやああああ!」

よろけた男が体勢を立て直す前に男の頭に博人は飛び乗り、上から頭に両手の破片を同時に叩き付ける。

「あが!」

男が倒れ込みそうになったのですかさず博人は男から飛び降りた。器械体操が得意な分野の博人は、その分野が

ここで役に立ったと言う事であった。

「ふぅ、はぁ……!!」

男はどうやら気絶してしまった様で、最後にとどめでジャイアントスイングをかまして男を戦いの中から離れた所に投げ捨てる。

(あいつ、一体何者なんだ……?)

疑問は拭いきれないままに博人は再び敵と戦う。

しかし、この後に更なる驚きの展開が6人とドラゴンを待ち受けているのであった。


6人とドラゴンが謎の敵達と戦っているその部屋に、バタバタと慌ただしい足音が聞こえて来た。

「全員退けーっ!!」

良く通る大声に部屋の中の全員の動きが止まった。声のする方を見てみると、そこには灰色の

制服を着込んだロングソードを持っている金髪の男と、槍を持ったオレンジ頭の男が大勢の部下と思われる

人間達を引き連れて立っていた。

そして、その人間達に向かって博人の攻撃から回復した赤髪の男が驚愕の言葉を吐き出す。

「王国騎士団かっ、すまない助かった!! この7人が調査隊の騎士団員を殺した犯人だ!! それに

俺の仲間も倒された!! 早く捕まえてくれ!!」


「なっ、何言ってるんだよ!?」

まさかの発言に栗山が食って掛かるが、そこに金髪の騎士団員が詰め寄って来る。

「それは本当か?」

「違う、こいつ等の言っている事はでたらめだ!!」

岩村も今まで見た事が無い程冷静さを欠いている。だが赤髪の男の言葉は止まりそうに無い。

「こいつ等がこの遺跡を荒らそうとしていて、俺達が声をかけたらいきなり俺達の仲間を倒した。

まだ俺の仲間の奴等は上に居る筈だ。俺達がこいつ等を追いかけて行って、ここに追い詰めたんだ!!

途中で騎士団員達を殺すのもはっきり見たんだが、止める事が出来なかった……すまねぇ!!」

凄く悔しそうな言い方をする赤髪の男だが、当然言っている事は全部嘘だ。

「ちっ、違う!! 俺達はここに来たらいきなりこいつ等に襲われたんだよ!!」

大塚が必死に否定するが、更に赤髪の男が発したこの後の発言で6人とドラゴンは追い込まれて行く事に!!


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