Run to the Another World第61話


寄せ集めサーティンデビルズの5人は、ジェイノリーと一緒にバーレン皇国の西の隣国、

イディリーク帝国へと向かう。ここにセルフォンの遺跡……と言うよりも別荘が2つあると言うのだ。

ただしドラゴンのままの姿で飛び回っていては当然帝国から目をつけられてしまう事は必至だ。

だからこそ地上で行動する時は人間の姿になって貰わなければならない。勿論元の姿に戻る時も

目立たない場所で戻らなければ注目されてしまう事は確実だったので、そこは上手く配慮して

町から離れた場所で姿を変更して貰い、飛んでいる時もなるべく町の上は通らない様に心掛けて貰った。


とは言うものの最初の遺跡の場所は森の奥地に建てられている古びた石造りの遺跡であり、

セルフォンからこんな話を聞く事が出来た。

『帝都から近いから、頻繁に調査隊が調査してるらしいぞ。某がここには滅多に来ないのもあるけどな』

ここは観光スポットとしても使われているのだが、1週間に1回は帝国が派遣している調査隊が

やって来るらしいのだ。勿論そんな連中にこんなドラゴンに乗っている自分達の姿を見られる訳には

行かないので、森の手前で降りて貰って薬を飲ませて人間の姿になって貰う。

『この森は1本道……と言うよりも、もうあそこに入り口が見えているからな』

セルフォンが指差した方向には、確かに森の入り口からはっきりと見える遺跡の入り口があった。

「よっしゃ、なら行くとしようぜ……!!」

博人が先陣を切って、6人とドラゴンは遺跡へと歩き出すのであった。


セルフォンの案内によってメンバー達は遺跡の中をどんどん進んで行く。しかし、屋内だと言うのに結構風が強いのだ。

どこかに大穴でも開いてるのかなと考えていたが、それは階段を下りて地下に行っても

余り変わらなかったので不思議だなぁと思わざるを得ない。

「風が凄い強いな……」

『ああ、ここは何処からか風が入って来てるんだよ』

岩村の呟きにセルフォンはそう答える。

そうしてセルフォンの案内によって最深部まで辿り着くと、両開きスタイルのドアが半開きで目の前に現れた。

『ここが最深部だ。風属性の某にはとても心地が良いんだ』

「何だ、意外と短いじゃねぇの」

栗山が呆気無い到着に拍子抜けした声を出す。

「中に入ってみても良いかしら?」

『ああ、存分に見てくれて構わない』

洋子がそう問いかけるとセルフォンはうなずいて答え、一行はドアの先へ。


そこは石造りの広めの部屋であり、広さとしては大体学校のプール位であろう。

「そこそこの広さだな。最も、ドラゴンのあんたからしてみたら狭いだろうけど」

ジェイノリーが部屋を見てポツリと呟く。部屋の中は瓦礫や石等が散乱しており、

整理整頓されているとは言いがたい。

「それで? ここにアクセサリーがあるんだろ?」

『ああそうだ。えーと何処だったかな』

大塚が問いかけるとセルフォンは1つ頷き、散らかった部屋の中からアクセサリーの1つである

灰色のイヤリングを取り出して来た。

『あった、これだ』

「ならこれで1つ回収したから、もう1つの遺跡に向かうだけだな?」

「そう言う事になるな」

イヤリングを見せて来たセルフォンに栗山が1つ頷き、博人もそれに同調する。


これで1つのアクセサリーが無事回収出来たので、もうここに用は無い。

……かと思いきや、セルフォンがこんな事を言い出した。

『待て、せっかくだ。御前達の話も少し聞いておきたい』

「え? 俺達の?」

唐突な話の流れにきょとんとしながらジェイノリーが聞き返す。

『そうだ。某も異世界の人間には興味があるし、何よりあの飛竜集団と戦ったおかげで

疲れているだろうからな。某もここまでせっかく来たんだから少し休みたい。構わんか?』

考えてみれば確かに、この世界に来てからそんなに時間は経っていないもののあの最初の3カ国で

飛竜の集団に襲われたと言う事もあって疲れが残っている事に違いは無い。

なのでここは素直にセルフォンの指示に従い、それぞれが自分の過去の話をする事にしたのであった。


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