Run to the Another World第45話


サエリクス、バラリー、淳の3人は、この世界がまず

如何言う世界であるのかを知らなければいけないのである。

しかしながら、異世界から来ましたと言っても信じて貰える訳も無さそうだ。

と言う訳でまずは作戦会議をする事に。

「異世界から来たって言っても信じて貰えるのか?」

「それは無理だろう。第一、異世界人が来たとなったら大騒ぎだろう」

「そうだよなー……それに、この世界の事を聞くなんて記憶喪失にでも

ならない限り無理だけど、3人がいっぺんに記憶喪失ってのも無理がありすぎる。

旅人って設定にしても、この世界の事を聞き出すって事は……」


うーんと頭を悩ませる3人。

そこで、まずは世界の事を聞き出すのでは無く自分達が

今居る大陸と地域について聞き出す事に。

随分悩んだ末の結論であったので、実際悩んだ時間の方が聞き込みの

時間よりも長くなるかもしれない。

それに、この人込みの中で聞き込みをして行くと言うのは骨が折れそうだ。

と言う訳で暇そうな人を見つけて、それと無く聞き出して見る事にした。


「あのー、ちょっと良いですか?」

「……何なんだ?」

「え?」

「今日の俺は何なんだ……?」

声を掛けた大柄の男は、何故か淳の呼び掛けに若干噛み合っていない返事だ。

「あれ、何かまずかったですか?」

「いや……大丈夫。で、何だ?」

「俺達遠くから来て、当ても無くぶらついてたら地図を無くしちゃってさ。

で、今俺達が居るこの国って何て言う国なんだっけ?」

「シュア王国だが……あんた達、船で来たのなら行き先を確認しなかったのか?」


男は最もな疑問を淳に返す。

「あ、えーと……本当に適当に来たからさ。そうか、シュア王国か。

それでだ。王都に行きたいんだけどどうしたら行けるかな?」

「王都ならそこの列車に乗れば着く」

「そっか。ありがとう」

目的は達成したので、男に礼を言ってそそくさとその場を離れる3人。


「で、あれの何処がそれと無くなんだ? 思いっ切り不審者だろう」

「それ以前に行き先がわからないっておかしいだろう」

イタリア人とスペイン人に怒涛の如く責められる淳。

「まぁまぁ。後は列車に乗ってしまえば大丈夫だよ。今の男とはもう

これっきりだろうしさ。それに、詳しい事は王都に行けばわかる筈だよ。

皆もそろそろ合流してるだろうし、俺達もそろそろ行こうぜ? な!」

強引に話を纏めた淳に、ヨーロッパの2人は溜息を吐くのであった。


「しかしまぁ……俺達もさ、何でこんな体験する事になったんだろ」

「わからないな。この世界に神とやらが居るのなら聞き出してみたいが」

「案外あの声が神だったりして」

ヨーロッパの2人のそんな会話に淳がぼそりと突っ込みを入れる。

しかしサエリクスからの返事は意外な物であった。

「それも一理あるかもしれないな」

「はっ?」

「だってよ、あの声が原因で俺達はこの中世風の世界に来た訳で、しかも2回もこうして

ワープさせられてるんだ。あの声が神だと言ってもそれは言い過ぎでも無いかも知れねーぜ」


そのサエリクスの予想にバラリーもうんうんと首を縦に振る。

「わからない話でも無いな。しかし、俺達の生活をぶち壊してくれた分何としても捜し出さないと。

それにバラバラになったメンバーの行方も未だにわかっていないから、迅速な行動が必要だ。何処かで

トラブルに巻き込まれていないとも限らないし、何より全員揃って一緒に地球に帰りたいと言う気持ちは

今の俺達と同じじゃないのかな」

何処か冷めた口調ながら、この先に起こりうる苦難の数々を予測してそう口走るバラリーに淳は複雑な表情になる。

「俺達はこうして運良く12人がいっぺんに同じ場所に来たけど、残りの23人が今何処で

どうしてるのかわからない。あの声が言うには他の国がある場所に飛ばすとかって言ってたし、

俺達の服装はこの世界では目立ちやすいから、それなりに目撃情報も入って来るかもしれない。

一先ず王都への行き方と、この国がシュア王国って名前の国だと言うのはわかったから、まずは

王都に列車で向かうとしよう。残りのメンバー共合流して、別々に情報を集めただろうから俺達も

その情報を受け取って、全てひっくるめて王都に行ってからのこれからの予定を決めると言う話になるな」


まずはメンバーとの合流。それから情報の纏めをして、王都へと列車で向かう。

そして列車の中でこれからの予定を立てると言う事で話は纏まった。

「だったら急ごう。もう皆待ってるかも知れねぇぞ」

「そうだな」

「結構遅くなっちゃったからな」

そうして駅の方向へと早足で向かう3人。しかし3人は気が付いていなかった。そんな3人の後ろから、

1つの人影が付かず離れずの状態でついて来ている事等……。


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