Run to the Another World第35話
最後は岩村、陽介、ディール組のドラゴン捜索隊だ。
「それなんだが、情報があった」
「本当か!?」
岩村の言葉に真っ先に食いつく真由美。岩村がその遺跡の情報を
みんなに伝え、今はその遺跡に向かうしか無いと思って12人が町から
出て遺跡に向かおうと歩き出した時だった。
「おい……」
「ちょっと良いかな?」
「え?」
ジェイノリーが真っ先に声のした方を振り向くと、そこには真由美達が
出会った金髪のあの男、大塚達が出会った茶髪にメッシュの男、
そして岩村達のグループは2人共に出会った事のある男達で合計4人の男が居た。
「あれ、さっきの人?」
「あ、本当だ。どうしたの?」
「さっきは悪かったな。何の用だ?」
一斉に疑問の声を上げる真由美、大塚、岩村にメッシュの男が衝撃的な言葉を次の瞬間吐き出した。
「あんた等、伝説のドラゴンの行方を追っているのか?」
「え?」
「そうだけど……」
何でこの男達が知っているんだろうと言う疑問が一斉に浮かぶ。
「僕達もその情報を集めていてね。有力な情報を持っているんだ」
「ほ、本当か!?」
大塚が金髪の男の言葉に真っ先に飛びついた。
「教えてくれ、頼む!」
「良いよ。僕等もドラゴンの情報を追う者として、情報交換を良くしているから」
と言う訳で半信半疑だが、それでもドラゴンの事を教えて貰える事になった。
「俺達は旅人なんだが、ヘルヴァナールを回って集めた情報があるからそれ等を教えてやるよ」
そう言ってまずは地図を取り出すメッシュの男。
「今俺達が居るのがこの国境だ。で、俺達が居る所から5日程歩いて行った所に遺跡がある。ここだ」
地図のポイントを指で指すので、ジェイノリーも地図を取り出して同じくペンで印を付ける。
「そして、もう1つの遺跡がここの森の中だ。これは西の隣国イディリーク側。ここは転送装置を使った方が早い」
「え、転送装置って壊れてるんじゃないの?」
恵のもっともな質問にメッシュの男はこう返した。
「それは城の転送装置だけだ。だから何処かの町の転送装置を使って遺跡の近くの町迄行け。
それからこっち側の遺跡に関しては、一見すると遺跡とはわからないかもしれないな」
「どう言う事だよ?」
「大きな湖になっている。行ってみればわかるさ」
真由美の質問に、そう答えを返すメッシュの男。
「遺跡はこの2つだけ?」
次に飛んで来た大塚の質問にメッシュの男は首を横に振る。
「いいや、ファルスにもシュアにもある。同じく2つずつだ。ファルスの方はこことここだ」
男が指を指した場所はまず、地図で見たファルス帝国の山の左側。
国境と帝都から見て大体両方の中間地点辺りに存在していた。
「ここもわかりにくい。俺達もびっくりした。草原の真ん中に立て札が立っていて強い風が吹いているから
それを目印にしてくれ。大体徒歩で30日位だが、国境の近くに町があってその草原の近くにある町に
繋がっている転送装置がある筈だからそれを使えば良い。まぁ、乗り合い馬車が
出ているからそれを使うのも有りだが、遥かに時間が掛かるだろうな」
そうして男の指は、今度ファルス帝国の山を飛び越えて右側へ。
「ここは逆に凄く分かりやすい。真っ白な塔が立っているからな。
中には昇降機もあるからそれを使えば直通だ」
エレベーターもあるのか……と妙にその説明に納得する異世界人達。
「ファルスはこの2つ。そして最後にシュアだが、シュアの方はもっとわかりにくい。
1つは砂漠になっている所がある。そしてその砂漠の中にオアシスがある筈だ。そこが遺跡になっている」
「わかりにくいって迷うとかそう言う事か?」
「いいや、一見すると遺跡には見えないと言う事だ」
「ああ、そう……」
何か意味があるのかと思ったが、呆気無い答えで兼山は拍子抜けだった。