Run to the Another World第34話


そうして約30分後、町の入り口の近くで4つのグループが合流する。

「どうだ、何か手掛かりは?」

「有力な情報は余り……」

孝司、ジェイノリー、アイトエルのグループは最も重要な剣の行方について調べていたが、

飛竜の集団を見掛けると言った様な事はこの街の人間からは得る事が出来なかった。

「考えられるのはその飛竜のグループがこっち方面に来ていないと

言う事か、もしくは夜にこの街の上を通過して見た奴が居なかったかのどっちかかな」

「いや……夜でも飛竜の集団が通過すれば音や影でわかると思うから、俺は前者を支持する」

ジェイノリーの推理にアイトエルは前者の意見を支持。


「じゃあ真由美達のグループは?」

真由美、弘樹、明のグループで今度はファルス帝国の事についての

情報収集の結果が報告される。

「俺達は結構集まったぜ。ファルス帝国はカシュラーゼの3ヶ国の中では最も軍事力に優れた国だって話だ」

真由美が地図を広げて指を指しながら言う。

「見ての通り地図に載る位の川や森等は無い。だけど、この大陸の真ん中を貫く様に走っている山脈。これが重要なポイントらしい」

「重要なポイント?」


そのディールの疑問に今度は弘樹が説明する。

「そうらしい。この山脈を中心にして騎士団が分かれて居るんだって。左翼騎士団、右翼騎士団と言う2つのグループに、

帝都を守っているエリート揃いの精鋭騎士団。そして騎士団のサポート役や小さな事件を解決するのは騎士団の下に位置している

警備隊と言う連中だってよ」

「つまり軍と警察みたいな物か……」

大塚の確認に弘樹は頷く。

「で、軍事力に関してはナンバー1だって話もあったけど、前にこのバーレンとは戦争をした事があるらしい」

「戦争だって?」

「ああ。で、このバーレンが負けて、今はファルス帝国とは休戦協定を結んでいるって話だった」

「何か、日本とアメリカみたいだな」

驚きの表情を浮かべて問いただす岩村に答えた弘樹の回答に、陽介が苦笑いしながら思いを告げた。


「それじゃー、次は俺達だな」

大塚、恵、兼山のグループはこの国について調査をしていた。

「まぁ真由美達の話と一部かぶるけど、俺達の行く予定のファルス帝国と戦争があったのは本当だって話だった。

で、それでこっちは甚大な被害を被って休戦協定を結ばされた訳で、その被害で結構金使っちまって今の国は

余り潤って無いって話でもあった」

更にその大塚の話に絡めて恵がこんな分析を。

「私の分析だと、恐らく私達があの城から追い出されたのもそれに関係していると思うわ」

「え? どう言う事?」

イマイチその分析がわからない孝司にも分かりやすく続ける恵。

「だから、お金が無いと家族を養う事が出来ないのと一緒だわ。まして私達は、この世界ではいわゆる穀潰しの

ニートと一緒の状態よ。だからこそ、何の生産性もない様な私達を国に置いておけばそれだけ食費などの経費が

かかるから、少しでも経費をカットしたいと思って追い出そうと思ったんでしょうね」

物凄い過激な発言を連発しながらの分析に、若干引き気味の11人。

でもその分析に妙に納得してしまう。

「だとしたら、簡潔に言えば俺達はこの国に居てもどうしようも無さそうだからとっとと他の国に出て行けよって事になるな」

「そう言う事になるわね」

11人の気持ちを代弁した明に恵が冷静に頷いた。


「ああ、後俺からも1つ。この国の主な移動手段は船なんだってさ」

「確かに俺達、結構船に乗ってたな」

兼山の発言にこの3日間の船旅を思い出すディール。

「この地図を見てもわかるけど、こうして川が色々な所に通っている訳で、俺達が乗って来たああ言う大きな船を

使っての物資の運搬、それからこの町でもやっているって言う他の町への連絡船のビジネス、

また大きな川でも同じく連絡船が通っているから、それが主要移動手段と言う話だ」

実際の所、城の中迄その川が続いていると言うタイプの王城を持っているこの国ではまるで日本の城の様に

ぐるりと水で城が囲まれており、その点に関しては攻め込まれにくそうである。


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