Run to the Another World第25話
遠藤真由美は東京都立川市生まれの東京育ちだが、子供の頃に両親が離婚し、
父親に引き取られて過ごしていた。その影響からか付き合う友達も女よりは男が多く、
口調も今はなるべく出さない様にはしているが、親しい友人と話す時は一人称が
「俺」になってしまうほど男っぽい性格になっている。また、近所の悪餓鬼と喧嘩する事も
良くあった事からもっと強くなりたいと思い10歳から格闘技を始める。
最初は近所のムエタイジムに通い、それからカポエイラ、テコンドー、
キックボクシング、サバット、シュートボクシング等の足技を主体に格闘技に打ち込んで来た。
プロライセンスや段も幾つも取得し、足技だけでは無く剣道や柔道にも打ち込んだりもした。
それから道場で知り合った車好きの練習生の影響で彼女は車に興味を持ち始め、
18歳で免許取得後にスピードの魅力に取り付かれて、プロレーサーを目指そうと心に決める。
だがこれに父親が猛反対し、真由美はその結果父親の反対を振り切って家出。
「女らしく生きて幸せになれ」と言う父親の態度に、今更そんな事は無理だと
最後迄分かり合えないまま、高校卒業と同時に立川を出て八王子で1人暮らしを開始。
その後はガソリンスタンドで正社員として働きながら毎晩首都高サーキットを
走り込み、格闘技の練習もプロレーサーになる為の体力作りに絶対に休まず猛練習。
1日を車と格闘技に打ち込む日々を続け、結果として2000年の終わりに
プロレーサーのライセンスを取得。今でも八王子に住みながらプロレーサーとして活動し続け、
スーパー耐久に出場したり格闘技に打ち込んだりの毎日だ。
真由美は壁を伝って男の後ろへと回り込み、男を後ろから羽交い絞めにするが男も
槍の柄で真由美の腹を後ろ向きのままでど突く。
「ぐふ!」
それによって真由美の羽交い絞めが解け、男はその間に身体を真由美の方に向けて
槍を突き出す。だが真由美もそれを身体を捻ってぎりぎりで回避し、
そこから男の腹を蹴る右のミドルキックに強引に繋げる。
「くぅ!」
男も左のキックを放つがそれを真由美は屈んで回避。そこから立ち上がりつつ
男のがら空きの脇腹に左ミドルキックを入れる。それによって男が一瞬怯んだ所に
右のパンチを男の顔面へ。
「ぐ!」
顔面パンチに対して怯まない男も右のパンチを繰り出すが、それを真由美は左腕で
軽くさばいて、そのお返しに素早い右のパンチを顔面にもう1発。そしてパンチを
繰り出した勢いで左回し蹴りに持ち込み、男の腹を思いっきり蹴って後ろへと男を吹き飛ばす。
「ぐふあ!」
その体重を乗せたキックはうつ伏せに男を床に倒れこませたが、真由美は油断せずに男に走る。
しかし男も持っている槍をうつ伏せの体勢のまま、真由美の足に叩きつけて真由美を転倒させた。
「ぬあ!」
男はそんな真由美を槍で突き殺すべく勢い良く立ち上がって槍を振り下ろすが、両足を使って
真由美は槍の軌道を逸らしてそれによりバランスを崩して前に倒れこんで来た男の側頭部をキック。
男は頭から壁に激突したが大した事は無い。
「ぐうう!」
槍を構えて再び男が真由美に向かって来るが、いかんせん船の通路でバトルを繰り広げている為に
薙ぎ払いは使えず、振り下ろしか突きだけになってしまうのが男の攻撃パターンだ。
それでも素早い突きから槍を振り回して行く男の攻撃に、素手の真由美はひたすら長年の格闘技で
培った動体視力と反射神経でギリギリでかわして行く。
だが男は真由美の一瞬を突いて、槍を使って真由美の身体を両手で壁に押さえつけようとした。
咄嗟にその槍を掴んで抵抗しようとした真由美だったが、次の瞬間信じられない事が起こる。
何と、真由美が槍を手で掴んだ瞬間に大きな音と光が真由美の手から発するのであった。
「うあ!?」
「ぎゃっ!?」
2人共その現象に当然驚くが、それによって男の押さえ込む力が一切無くなった為に痛みを堪えて
体勢を立て直した真由美は彼のがら空きの頭に左の肘を全力で叩き込む。
「ぐふっ!?」
男もすぐに立て直して槍を構えて来るが、真由美は槍を右のキックで弾き飛ばし、その槍を弾いた
足でそのまま真由美から見て男の左脇腹を蹴りつける。
更にそこから真由美は左足の回し蹴りを男の後頭部に叩き込み、男が思わず前かがみに
なってしまった男の顔面に右足の甲を思いっ切り振り上げてぶつける。
そして最後に、大きく仰け反った男の腹に左回し蹴りを食らわせて通路の奥へとぶっ飛ばした。
「ぐおおあっ!」
その時、上の方からばたばたとバーレンの兵士達が階段を使って通路に雪崩れ込んで来た。
それを見た男は形勢不利と悟って素早く槍を持って逃げ出して行く。真由美も追うつもりだったが
兵士に止められ、後の処理は兵士達に任せる事にして大部屋に戻る事にした。