Run to the Another World第230話(最終話)


「ふっ!」

続いては博人が、屋上で見つけた短めの鉄パイプを右手に持ってロングソードの要領でイークヴェスに

突き刺そうとするが、それをイークヴェスは難なくかわす。しかも下に居る令次、ハリド、孝司を踏みつけながらだ。

そして鉄パイプを博人が振り被って来た所で左の前蹴りを博人の腹に入れる。

「うぐぅ!」

それでも鉄パイプを博人が突き出した所で、イークヴェスはその攻撃を避けつつ博人の右手を取って思いっ切り捻る。

「うぐぉ!?」

そうして博人から鉄パイプを奪い、イークヴェスは博人の右腕の上腕二頭筋に左手で鉄パイプを下から上に突き刺す。

「あああ、あがぁああ、あああっ!?」

しかもその貫通した鉄パイプをイークヴェスは両手でぐるりとハンドルの様に回して関節も捻り上げる。

「うぐああ、あが、おあああっ!?」


博人は余りの激痛に倒れ込んでしまい、その動きで鉄パイプが抜けるがイークヴェスは無駄にせずに令次の右の太ももに

鉄パイプを思いっ切り突き刺す。

「づっ!?」

そうしてハリドと孝司の顔面を踏みつけながら今度はイークヴェスの方から和美に向かう。

「ぐっ……」

向かって来たイークヴェスに先制でハイキックを繰り出す和美だがそれをガードされ、地面に倒されて素早くかかとを

背中に全力で落とされる。

「ぐぅあ!?」

更に首を取られてギリギリと締め上げられ、和美の意識が遠のいて行く。

「うぐ、ぐぇ……」


しかし、そこに残っていた淳が他のモンスターを倒してイークヴェスと和美の所にダッシュし、そのまま全力でタックルをかまして

イークヴェスを弾き飛ばした。

「うらぁっ!」

『ぬおっ!?』

淳とイークヴェスは同時に倒れ込んだが先に起き上がったのはイークヴェスで、起き上がろうとした淳の腹に10発程

サッカーボールキックをかました。

「うぐ、おが、あが、ああ、おう、あっ、ぐあ!!」

(つ、強すぎる……)

そんな考えが倒れ込んだ7人の脳裏を過ぎった。これだけの人数で掛かっても傷1つ与えられないと言う事は、

大人数の方が圧倒的有利と言う状況を覆せる程にこのイークヴェスは強いと言う事になる。

『期待外れだな。異世界人と言う事で少しは楽しめると思ったが、余の方が強いな!』

勝ち誇った様にそう言うイークヴェス。


だが、そんなイークヴェスの右腕に飛びついたのが令次。

「くっそぉ!」

『くっ! しぶといな!』

令次を振り払おうとするイークヴェスだったが、今度は彼の左腕をハリドが生き残った左腕で抱え込んでガッチリホールドする。

「このおおおっ!」

『なっ!?』

更に淳が這いつくばりながらも、そのままイークヴェスの右足のふくらはぎに噛み付く。

『ぐああああっ!?』

しかしイークヴェスも負けじと右腕に掴みかかっている令次の左手に噛み付く。

「うああああっ!」

それでも力を振り絞って絶対に離さない様にする令次に気を取られていたイークヴェスの左頬に、視野の外から出て来た

孝司の右ストレートが炸裂。

『ごあっ!?』


唯一自由な左足で孝司の腹を蹴り飛ばし、続けて右足の淳を振り払うが淳はすぐさま体勢を立て直してまたもや

イークヴェスの右足にしがみついた。

『くっ、離せ、離せええええっ!!』

イークヴェスはもがいて離れようとするが、地球人達はそれを許さない。そしてハールは何とか地面を這いつつ、仰向けの

状態から勢いをつけて一気に左足を振り上げ、イークヴェスの胸にキックを直撃させる。

「いやああぁっ!」

「ぐおぁ!?」

それによって一瞬意識が飛ぶイークヴェスと、その衝撃で足から離れる淳。


そこに今度は足が無事だった博人が何とか立ち上がって、ダッシュからのドロップキックをイークヴェスの顔面にぶち当てる。

「がっ……」

声にならない呻きを上げて、イークヴェスはゆっくりと令次とハリドと共に後ろへ崩れ落ちて行った。淳は崩れ落ちて来る3つの身体を

転がって回避し、地球人達が力を合わせてラスボスのイークヴェスを倒す事に成功したのである。

それと同時にイークヴェスの魔力によってコントロールされていたモンスター達もまるで煙の様に消え去り、バトルが終わった事を示す。

リーダーの7人はそれぞれ重傷なので他のメンバーに助けて貰って、一先ずはタワーから他の人間達やドラゴンと共に出る事を決めたのであった。



Run to the Another World 古代都市アイリラーク編 完


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