Run to the Another World第224話


バラリーは身軽な動きを駆使して、同じく身軽そうな魔法剣士のグリスを追い掛け回す。

そうして2人が辿り着いた場所はタワーの中の何処かのホールだった。そしてバラリーは今までの事を

聞きだす形でグリスと会話をしていた。

「……と言う事はメンバーは御前達4人だけでは無く、あの御前達が指示を出していた集団や

あの女も御前達のメンバーと言う事だったのか。レーシングプロジェクトの奴等の話ではラーフィティアで

敵の攻撃から逃がしてそのままあの女と別れたって言う話だったが、だったら何故この場所に御前達と

一緒に来る事が出来たんだ? それも俺達よりも早く」

そのバラリーの質問にグリスは微笑を浮かべながら答える。

「あの時……本当に偶然僕達もラーフィティアに居ましてね。そのレーシング何とかって言う人達の戦場から

逃げて来たあの人とはその戦場から1番近い街で出会いました。そして貴方達の情報を教えて貰い、飛竜を

使って霧が消えるタイミングを見計らってここに来たんです。貴方達よりも先にね」


「そして、あの女は元々御前達と別行動をしていたメンバーの1人だったのか……その黒竜の

伝説に関しての大きなヒントを掴んだから、俺達をここで一気に殺すつもりなんだろう?」

「そうです。僕達の計画を邪魔すると言うのなら、僕と勝負ですよ!」

グリスはその言葉を言い切ると同時に左手を前に突き出し、ファイヤーボールをバラリーに放って来た。

「うぉ!?」

魔導は自分の身体に効果が無いと分かっていても、つい火のイメージに負けて反射的にバラリーは避けてしまう。

ファイヤーボールをギリギリで身体を横に向けて避け、バラリーはグリスに向かう。しかしバラリーの目の前にグリスは居なかった。

「遅い」

後ろから聞こえたその言葉に反応するかしないかと言う所で、バラリーは背中と後頭部に衝撃を受けて倒れる。

「ぐあ……!」


後ろから蹴られたバラリーは気絶こそしなかったが、仰向けに足で身体を反転させられ首を踏みつけられた。グリスは

ファイヤーボールでバラリーの注意をひきつけつつ後ろに回り込み、後ろから前蹴りでバラリーの背中と後頭部を蹴りつけたのだ。

さほどダメージは無いがまさに一瞬の事だった。

「魔導か……!!」

「ええ。僕は魔法剣士のグリスですから」

足の先端でぐりぐりとバラリーの顔を突きつつ、グリスは薄気味悪い笑みを浮かべる。

「観念するのはどうやら貴方の様ですねぇ……」

しかしそんなグリスの様子を見たバラリーは、足の先端にグリスの意識が向いていると踏んだ。

そこで力を振り絞って、両手でグリスの足を掴んで思いっ切りバランスを崩す。

「うわっ!?」

一瞬の出来事で攻撃されたバラリーが、一瞬でグリスに攻撃し窮地を脱出。

倒れ込んだグリスを尻目にバラリーは立ち上がり、彼の顔面にサッカーボールキックを入れる。


「ぐへぁ!?」

素早くそれでもグリスも起き上がったが、バラリーがそんなグリスに一気に近づきミドルキックでグリスのロングソードを吹き飛ばす。

「しまった、剣が……!!」

「おらあっ!」

戸惑うグリスの両肩を掴み、ジェイノリーから習っているムエタイの技の要である膝蹴りを何発もバラリーはグリスの腹に叩き込む。

「おら、おら、おら、おら、おら、おら!!」

グリスは何も出来ないままバラリーに膝蹴りをされ続け、バラリーは16発程打ち込んだ所でグリスの身体を突き飛ばし、

最後にグリスの顔面目掛けフリーランニング仕込みの大ジャンプからのドロップキックを喰らわせる!!

「がっ……!!」

グリスは昏倒し、倒れ込んで意識を失った。


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