Run to the Another World第223話
アイトエルは二刀流の双剣士であるシャレドを追い掛けてとうとう追い詰める事が出来た。
追い詰めた場所はタワーの一角にあるやや広めの部屋だ。特に家具等は置かれておらず、全くの空室である。
「はぁ、はぁ……さぁ、観念するんだな。御前達と一緒に現れたあの武装集団は御前達の仲間だろう?」
息を切らせつつも、何とかシャレドを追い詰めた事に達成感があるアイトエルはシャレドに詰め寄って行く。
しかしシャレドもこのままでは勿論終わらなかった。
「確かにあいつ等は私達の部下だ。だが観念するのはまだ早いな。私が御前をこの場で倒して逃げれば
良いだけの話だろう?」
その挑発的な発言にアイトエルの顔に怒りの表情が浮かぶ。
「そうか。なら存分に掛かって来るが良い!」
もうどっちが悪役なのか第三者から見れば分からないが、アイトエルはそのバトルを受ける事にした。
先にアイトエルが突進して行くが、ただ突進して行くのでは無くシャレドに辿り着く前にドロップキックの体勢で
思いっきりジャンプ。
「うっ!?」
巨体がジャンプして来るそのまさかの光景ににびびって怯んだシャレドの前に着地したアイトエルは、彼を前蹴りで
蹴り飛ばしてそこから一気に掴み掛かって膝蹴り2発、そして右の肘を小さく振りかぶってシャレドの側頭部にヒットさせる。
「ぐおっ!?」
そのまま間髪入れずにアイトエルは身体を左回りに反転させ、その勢いで左の肘をシャレドの腹へ。
「がはっ!」
少し吹っ飛ぶシャレドだが、体勢を立て直したシャレドは腰の両側に提げているロングソードを2本共引き抜く。
「!?」
まずいと判断して向かって行くアイトエルだが、そんなアイトエルをシャレドはお返しとばかりに前蹴りで蹴り飛ばした。
そして2本のロングソードを構えて向かって来る。
「はあぁっ!」
流石にこのままでは勝ち目が無い。アイトエルの負けはほぼ確定した様な物だ。何故ならロングソードと
素手ではリーチが違いすぎる。何か武器でもあれば良いのだが今は何も無いのでとにかくロングソードから逃げまくる。
.しかしこのままでは埒が明かないので、逃げ回りながらアイトエルは如何にかしなければと頭を回転させる。
その結果、ロングソードを一か八かの賭けで一瞬無効化させる作戦がアイトエルの頭に浮かぶ。
(それしか無い!)
アイトエルはシャレドから逃げ回りつつ、その作戦が成功する様に息を切らし始める。
「はぁ、はぁ……」
息を切らしながら逃げ回り、振るわれるロングソードを避けて壁に向かって走り、わざとぶつかってそこでアイトエルは後ろを振り向く。
「終わりだ」
シャレドはアイトエルにロングソードを突き刺そうと構えのモーションに入っていたので、アイトエルはそれを咄嗟に左に身体をひねって避ける。
するとアイトエルを仕留めて殺す筈だったロングソードの片方が、そのまま壁に思いっ切り突き刺さった。
「なっ!?」
戸惑うそのシャレドの隙を見逃さず、アイトエルは思いっ切り大きな身体でジャンプしつつ膝蹴りをシャレドのアゴ目掛けてぶちかます。
「ごあっ!?」
人体の急所の1つでもあるアゴを思いっきり蹴り上げられて、一瞬意識が遠のくシャレド。そしてそれに対してアイトエルは
猛然とラッシュをかけ始める。右ローキック、右ハイキック、そして肩を掴んで右の肘を腹に叩き込み、両手でシャレドを
突き飛ばしつつアイトエルもダッシュ。最後にとどめのダッシュからのジャンピング膝蹴りをシャレドの胸に叩き込めば、シャレドは
その重い一撃でそのまま意識を失って気絶してしまった。
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