Run to the Another World第221話
博人は大きな扉の部屋を出て、階段を上がって行く男を追いかける。
「待て、おい!」
階段を上がってすぐ横のドアに入り、博人もそれに続く。
そこは10畳程の部屋で、棚やテーブル等がある応接室の様な部屋になっていた。
男はその部屋の中央まで歩き、博人の方を向いた。
「……誰だテメェは?」
「私はラーフィティア傭兵団の副団長、オーレンです」
オーレンと名乗った男はにこやかな笑みを浮かべた。そして良く見てみると、副団長のオーレンは丸腰では無いか。
「武器も持たずに俺達の邪魔する気か?」
「ええ。まさか……私と戦うつもりですか?」
「ああそうだ。ここで大人しく退いてくれると良いんだけど」
「それは出来ませんね」
「なら、交渉は決裂だなっ!」
そう言いつつ前蹴りをオーレンの腹にかまし、続け様に側の机の上のツボを彼に向かって蹴り飛ばす博人。
「乱暴者ですね……では行きますよっ!!」
オーレンもやられるだけでは無く、反撃開始。
近づいて来るのでまた前蹴りを繰り出す博人だが、それをかわされてしまう。そして次の瞬間衝撃が博人を
襲った。オーレンの手にはナイフが握られており、それを博人の腹に突き立てているでは無いか。
「私が武器を持たない? 嘘に決まってるじゃないですか」
「ぐおあああっ!!」
そのまま倒れこんで博人の首を左手で押さえ込みながら、ぐりぐりと右手のナイフで腹をえぐるオーレン。
博人はそれでもオーレンの頭を自由な両手で掴み、思いっ切り頭突きして反撃に出る。
「ぐえ!?」
更に両足を揃えて蹴り飛ばして、密着状態から逃れる博人。
ナイフを引き抜いてはいけないのだが、憎しみが勝ってしまい引き抜いてあの音と光の反応が出る前に
オーレンに素早く投げつける。
「くっ!」
寸ででそのナイフをかわすオーレンだが、一気に博人はそこに近づいてパンチのラッシュを叩き込む。
「おらおらおらおらおらっ!!」
最後には右ストレートで顔面を殴り飛ばし、キョロキョロと辺りを見渡す博人。すると御目当ての物を発見した。
(これだ……!)
先程自分が割ったツボの尖った破片を手に取り、それを隠し持ってオーレンに向かう。
(こいつも割と強いから、時間は掛けられねぇ!!)
立ち上がりかけたオーレンに向かって思いっきりタックルをかまし、押さえ付けたまま博人は殴りつける。
「ぐはっ……」
その勢いを維持しつつ、意識を朦朧とさせているオーレンの首筋にツボの破片を思いっきり突き立てた。
「が……!?」
目を思いっ切り見開き、そのまま力が抜けてオーレンは死亡する。
「はぁ、はぁ、はぁ……地球に帰るんだよ……俺等はな……」
身体を何とか気張らせて、オーレンの方を振り向く事無く博人はさっきの大きな扉の部屋に向かって歩き出した。
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