Run to the Another World第217話


ディールも真由美と同じくダウンタウン方面に逃げ込んで、馬で住宅街はきつい兵士達を

その馬から下ろさせて1人ずつ的確に倒して行った。

だが今では白馬に乗っている緑髪の騎士に追い掛け回され、逃げ回っている。

(すげー長い斧だな!)

追いかけて来る緑髪の騎士は大きくて長い斧を振り回している。

しかしこのままでは駄目だと感じて、住宅街だから曲がり角を上手く利用して

戦えば長い斧は自由に振り回せ無い筈だと考えて反撃に出る事にした。


ディールは様々な日本の武道を習って来たが、今回使うのは空手もそうだ。

琉球王国時代の沖縄で発祥した、打撃技を特徴とする武道が空手。

現在普及している空手は寸止めのルールの伝統派空手と、直接打撃制

ルールのフルコンタクト空手。他には防具を着ける防具付き空手もあり、

ディールはフルコンタクト空手を習得している。


向かって来る騎士に対し、曲がり角を利用して馬が方向転換に手間取っている間にまずは

曲がり角の壁を利用して壁キックから、馬の上に乗っている騎士を蹴り落とす。

更に起き上がって来た騎士が武器の斧を構える前に、中段蹴りから顔面への飛び後ろ回し蹴りに繋げる。

「ぬおっ!?」

「ふぅ!」

倒れ込んだ騎士を押さえ付けると、何だか見覚えのある様な服装だった。

「御前もあのラーフィティアの傭兵部隊の奴だな!?」

「そうだ。私は第1部隊長のシェザだ!」

言い切ると同時にディールの押さえ込みを渾身の力で解き、シェザは斧を構える。


勝負は余り長く続けるとリーチの差でこちらが不利になるので、余り時間を

かけない様にしたいと思うディール。回転させて上から振り下ろしてくる斧の刃の部分に

当てない様に両手で掴む。そのまま引っ張ろうとするが引きはがされてしまい、シェザは

更に勢いをつけて回転しながら横薙ぎ。だがそれを横に移動しつつ後ろに身体をそらして避け、

素早く身体を起こして横移動で更にシェザの方へと入り込むディール。

そのまま今度は接近戦に持ち込んだディールがシェザの斧にしっかりとミドルキックを当てて彼の手から

斧を弾き飛ばして更にシェザの腹に前蹴り。前蹴りで後ろによろけるシェザにそのままダッシュで

踏み込んで近づき、続けてシェザの胸目掛けて膝蹴りをかまして間髪入れずに下段蹴りで彼の右足を蹴り、

それでよろけたシェザの側頭部に上段蹴りをかます。空手の下段蹴りの威力もしっかりと決まれば

とんでもない威力になるのだ。

「ぐっ!」


シェザは地面に倒れ込んだがまだ戦闘続行可能な様で、起き上がってから回し蹴り、ミドルキック2発、

更に回し蹴りと続けて来たがディールは冷静に避けて最後の回し蹴りの時にカウンターで同じく回し蹴りを繰り出して

彼の顔面にヒットさせた。

「ぶぐふっ!」

またよろけるシェザに、今度はダッシュからのドロップキックをかますディール。まともにヒットしたシェザは後ろに吹っ飛んで

壁に背中から直撃。

そこの壁は半分廃墟になっている住宅で、壁が崩れ落ちて鋭利に尖っている部分も存在している。

シェザはその場所から運良く外れてヒットしたが、その壁の存在に気が付いたディールは再び自分に向かって

来ようとしたシェザの顔面目掛けて右、左とパンチを繰り出し、最後にアゴ目掛けてサマーソルトキック!

「ぶごっ……」

勢いが付いたそのサマーソルトキックでシェザはまた後ろの壁に勢い良く直撃。

そしてそこは運悪く壁の尖った部分がある所だった。そんな場所に勢い良く叩き付けられれば……。

「ぐぶっ……!?」

心臓の部分に背中から壁が突き刺さったシェザは、壁から離れようとうごめくがそれも無駄に終わる。

そのままシェザは意識を失い息絶え、何とか倒したディールは他のメンバーと合流する為にダウンタウンを駆け出した。


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