Run to the Another World第213話


敬語口調の第4パラディン部隊隊長のエルノスとは、アレイレルがバトルする。

「ああ、貴方達がファルスやバーレンやシュアで噂になっていた異世界の……」

「そうだな。紛れも無く俺達だ。見逃してくれは……しないか?」

「残念ですが交渉は出来ませんね。私達は団長から貴方達を見つけ次第、殺す様にと命令を受けているので」

「成る程。交渉は決裂だな」

足をほぐし、アレイレルは向かって来る彼の部下の兵士達を相手する事にした。

そんなアレイレルはエスクリマとエクストリームマーシャルアーツの他に、ハールから習ったテコンドーも今は使っている。


テコンドーは韓国の国技であり、空手ベースに作られた格闘技。スパーリングは2000年からオリンピックの正式種目にも

なっており、見た目も派手なアクロバティックな動きと蹴り技が特徴だ。脚力と脚のリーチを活かして移動しながらの

蹴り技には威力が十分あり、当たったら凄く痛い。試合の時ではローキックが禁止されているが、実際にはローキックだけでは

無く足払いや関節技、突きなどの打撃も習得するので、試合の時だけのルールだ。またWTFテコンドー、ITFテコンドーと

言う2つの流派が大きく分けて存在し、WTFは顔面へのパンチが駄目なのに対し、ITFはOKである。それから防具は

ITFの方が簡素で空手に近い。WTFは安全性とスポーツ性、そして足の攻撃に重点を置き、「足のボクシング」とも呼ばれる。

アレイレルはハールから教わったITFテコンドーを習得しており、その技を活かしてエルノスの部下を倒していた。


そして残るはエルノスだけなのだが、遠距離からファイアーボールを放って来たり魔導でスピードアップしているのか、

常人ではあり得ない速さで近づいて来て短剣で攻撃して来たりもする。

(これ、結構やばいぞ……)

アレイレルもまた足技で対抗するが、エルノスは回避スピードも凄まじい。恐らくこれも魔導なのだろうが。

(けどこっちだって負けては居られない。テコンドーの蹴りは変則的なキック!!)

その変則的な蹴りを利用してエルノスに攻撃を当てるのだ。時間も余り掛けられそうに無いので短期決着で行きたい。

タイミングを覗う為に、攻撃を少し緩めて防御に徹するアレイレル。前転でエルノスに近づき、低い姿勢から足払いを

かけつつ牽制。そして起きあがる。そこを狙ってエルノスが短剣を突き出して来たので、それをひねり回転からのジャンプで避ける。

そしてキックを繰り出す訳だが、それはエルノスも予測済み。しかしそれはただのキックでは無く、左足を高めに上げて避けさせて

右足を左足が落ちる時の落下に合わせて低めに持って行き、その右足でエルノスの顔面に向かってキックを叩き込む。


「ぐあ!?」

エルノスが怯んだ所に、アレイレルは着地してすぐにミドルキックを腹に入れる。更に間髪入れずに回し蹴り、その勢いで右ハイキック。

そしてエルノスが吹っ飛ぶので、追撃に飛び3段蹴りをかます。

「うぐ!」

それでもまだフラフラになりながらも持ちこたえるエルノスだったが、アレイレルはそんな彼の胸目掛けて突進。

そのまま左手でエルノスの右肩を掴み、ジャンプして脳天に肘を叩き込む。

「ぐえっ……」

その衝撃で気を失ったエルノスは、そのまま真っ逆さまに声も上げずにガケ下へと落下して命を落とす事に。

これで地球人達はまた1人部隊長を撃破する事に成功した。

(良し、後は向こうだけだな)

まだ戦いは続いているので、アレイレルはすぐにその他の戦いに加勢して行った。


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