Run to the Another World第204話
周二や大塚が戦っている頃、マスターズの鈴木流斗は港湾部分の倉庫街の一際大きな倉庫の屋上に立っている。
そしてその向かい側には自分を追い掛けて来た黒髪の剣士が愛用のロングソードを構えて立っている。複数の兵士に
追いかけられていてそれ等を何とか倒した流斗だったが、黒髪の剣士だけは倒し損ねたのでこうして彼を迎え撃っていた。
「何で御前さんは俺達を狙う?」
「俺達はあのラーフィティアの傭兵団と契約している。それだけだ」
流斗の問い掛けに黒髪の剣士は口数少なくそう答えた。まずは拳を構えて流斗は先制攻撃を
仕掛けようとするが、流斗の動きに合わせて上手くロングソードを突き出す剣士。一旦流斗は身を引いて
再度攻撃しようとするが、これまた上手い具合にロングソードを向けられる。そこから一気に踏み込んだ
流斗は剣士に殴りかかるが、上手く剣士もロングソードでブロックしつつそのロングソードの柄で流斗の腹をど突く。
「ぐあっ!」
自分から攻撃しようとしないタイプなのか、流斗の出方を窺っているのかは知らないが、それでも流斗は攻めるだけだ。
一息吐いて流斗は剣士に飛び掛かり、そこからボクシングみたいにスウェーで剣士のロングソードをかわしつつ
小さくジャンプして剣士の胸に右のパンチを叩き込む。
「ぐっ……!?」
思い切りの良いそのパンチに剣士は後ろに倒れ込んだ。
今度は間合いを一旦取って、流斗から2連続回し蹴り。そこから右のハイキック、剣士の攻撃をかわして
左ハイキックと繋げるが、今度は剣士のロングソードが襲い掛かって来る。
「ぐ……っ!」
ギリギリで回避しつつ一瞬の隙を突いて右のミドルキックで剣士の腹を蹴飛ばし、下段回し蹴りを繰り出すが
これは避けられる。そこから右のハイキックに素早く繋げたが大きく流斗は空振り。
(しまっ……!!)
そう思った時には剣士の右足が振り下ろされ、流斗の足に大きな衝撃が伝わってバランスを崩す。
そこに追撃でロングソードが襲い掛かって来るが、ギリギリで回避する流斗。そんな流斗の顔面に今度は
剣士の右回し蹴りが炸裂する。
「ぶぐおっ!!」
顔を勢い良く蹴られて流斗は回転しながら地面に倒れ込み、勢いがようやく屋上のふちで止まる。
「……死ね」
流斗の首を踏みつけつつそう呟いてロングソードを両手で流斗の胸に突き刺そうとする剣士だったが、
咄嗟に流斗は剣士の股間を右手で思いっ切り握り潰す。
「ぐおぁああああっ!?」
男の大事な部分を握り潰される痛みは同じ男の流斗にもイメージ出来たので、それによって怯んだ
剣士の隙を突いて流斗は立ち上がり一気に剣士の懐に飛び込んでパンチのラッシュを浴びせ、更に
左ハイキックを剣士の側頭部に入れる。
「ぐうっ!」
ギリギリで持ち堪えた剣士が完全に体勢を立て直す前に、今度は流斗の左回し蹴りが逆の側頭部に炸裂。
「うおぐっ!」
剣士が倒れ込んだので飛び掛かろうとした流斗だったが、咄嗟に剣士は流斗の腹に足を突き出して飛び掛かりを阻止。
「ぐほはっ!?」
お互いにダメージを受けつつも再び立ち上がったが、ここで流斗が剣士を見てある事に気が付いた。
(……あれ……?)
更に突っ込んで来た剣士のロングソードを避けつつ、気が付いたポイント……剣士の着ているロングコートのすそが
ひらひらしているので、それを掴んで下からすくい上げる形で剣士を床に転ばせる。
「うおあわっ!」
そして立ち上がって来た剣士の顔面に左の回し蹴りを食らわせてぶっ飛ばし、もう1度立ち上がろうとした剣士の
顔面に今度は左のパンチを全力で叩き込んで屋上から文字通り叩き落とした。
「うあーわっ……!!」
叫び声を上げて剣士は屋上……階数で言えば5階部分位から頭を下にして真っ逆さまに落ちて行った。流斗は自分も屋上から
下りて行ってその剣士が地面に叩きつけられて絶命しているのをしっかりと確認し、他の戦いに加勢する為に敵を探して駆け出した。
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