Run to the Another World第199話


城の中での戦いが全て終了し、ハヴィスや幹部達9人の遺体も回収されてゼッザオの戦いも終了した。

そして王都はゴーストタウンだと思っていたのだが、ここはゴーストタウンでは無くてゼッザオ王国軍の

関係者しか住めないと言う特権階級の街になっていた。なので傭兵の4人組が余り王都の事情を

知らなかったと言うのも納得出来ない事も無かった。その王国の国王であるハヴィスや宰相のベリルが

死亡した今、このゼッザオ王国を如何やって纏めて行くかが課題となる。

しかし、そこで意外な者がその死亡したハヴィスやベリルの後継者として立候補して来る事になった。

『ならば、このゼッザオは元々竜の国だったから我等が纏めて行こう』

そう宣言した白いドラゴンのタリヴァルを始め、伝説のドラゴン達がゼッザオをこれから纏めて行くと言う事を言い始めた。


『僕達も君等に狙われる位なら、ここで過ごした方がよっぽどマシだよ』

『ああ。某も力を欲する様な連中に狙われたくは無い』

『私もここの方が落ち着きそうだ』

『俺様も同じドラゴン同士で暮らして行きたいぜ』

『我輩も森での暮らしには飽きた。もしこれでもまだ我輩達を狙うのであれば、本気で

今度はヘルヴァナールの国を滅ぼしに行くから覚悟するのだな』

そのドラゴン達の宣言に、ヘルヴァナールのゼッザオ以外の面々は仕方無くドラゴンを諦めるしか

自分達の国を存続させる道は無いと考えたので大人しく身を引く事にした。


「えーと、後はこのアクセサリーと武具を何処かに置くんだったっけ?」

「ああ、確か城の何処かだった筈」

「大きな石碑とか何とか言ってなかったっけ?」

「て事は、あそこの事じゃないのかな……」

兼山が指差した先……エウリア城の中庭には、確かにそれっぽい石碑が鎮座している場所があった。

「ならあそこだな」

連を先頭に、一同はその石碑をぐるりと取り囲んでまずは最初に支給された3つの武具を置いて行く。そして

ドラゴン達から預かったアクセサリーを順番に置いて行き、最後のアクセサリーを置き終わった瞬間に大きく地面が揺れ出した。

「うお、何だ!?」

「地震かっ!?」

突然の揺れに驚く一同だったが、それ以上に驚くべき出来事が城の後ろに

現れるのをこの後に目撃する事になる!!


揺れが段々大きくなって来たかと思うと、海が波打ってぱっくりと海面が割れて行きそこからザバーッと

陸地がせり上がって来た。それに加えてエウリア城からも光が漏れ出して来て何かがズズズ……と生えて来る。

その目の前に現れた光景に、それぞれのチームのリーダーは思い思いのリアクションをする。

「……え?」

「な、何だよあれ」

「何か、明らかにエウリア城が増改築されたみたいですけど……」

「……凄くファンタジーね、これ」

「あれはタワーだよな……どう考えても」

「僕も淳と同じくタワーに見える。それも凄く大きな」


エウリア城から突然せり上がって来たのは、まるでゼッザオのシンボルの様にそびえ立つタワーだった。

東京にもそれこそ東京タワーだとかスカイツリーだとか新宿のビル街等のタワー系の名所があるが、

それ等が東京のシンボルだとすればこの新しく現れたそのタワーはゼッザオのシンボルであった。

「どう考えても、あそこにラスボスが居ますって雰囲気だな」

「あ……ああ」

サエリクスの見立てに、若干あんぐりしながらもジェイノリーが答えた。

「とりあえずタワーは後回しにして、陸地の方の探検から行ってみるか?」

「それしか無いだろう」

「良し、なら出発しよう」

アイトエルの提案にバラリーも賛同し、ならばとハリドが1歩踏み出した時だった。

「……それは良いけど、後ろの人達はどうするの?」

そのエスティナの言葉に異世界人達が後ろを一斉に振り返れば、そこには今の新たな

タワーと陸地の登場によりすっかり存在を忘れられていたヘルヴァナールの各国軍が。


その先頭にそれぞれ居る各国の王に、エスティナが恐る恐る尋ねる。

「……一緒に行きます?」

「当たり前だ。嫌だと言われても俺達もついて行く」

「はるばるここ迄来たんだからな。こうなったら最後まで全員一緒に行くぞ」

「異世界人だけに行かせる筈があるとでも?」

「目の前であんな物を見せられては、気にならない訳がありませんよ」

「それに俺達も、この新しい土地の事は気になるからな」

「そうそう。余達もあの建物の事は調べたい」

「新しい技術が幾つも発見出来そうだしな、あそこは」

「建造物だけ見ても、ヘルヴァナールのどの国より高度そうですし」

「その技術が魔術なのかも見ておく必要がありそうだ」

と言う訳で、有無を言わさずにそのヘルヴァナールの9カ国のメンバーもそしてドラゴンも一緒に

異世界人チームについて来る事になったのである。


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