Run to the Another World第189話
首都高現役組の3人はその後も慎重に、冷静沈着の精神で急ぎたい気持ちを抑えて確実に
慌てずに地下牢を目指した。そうして辿り着いた先には、予想通り地価に存在していた牢屋の中で
うずくまっている首都高引退済み3人組の姿があった……。
「あ、き、岸!!」
「明、おい!」
「和人、大丈夫か!!」
牢屋の前に居る見張りを倒し、懐から鍵をゲットして3人を脱出させる。
「藤尾、何でここに!?」
「兼山……来てくれたのかぁ!!」
「連、無事で良かった……!」
「話は後だ。とりあえず静かに。ここから脱出するぞ!!」
感動の再会を喜ぶのは良いが、余り騒ぎすぎると見つかってしまうので一旦それは後回しにして、
牢屋から脱出した引退組3人は現役組3人と突入部隊と共に脱出を図る。
その一方で戦場において戦っていた令次、孝司、淳のリーダートリオも城の裏口へとやって来ていた。
「あいつ等、先に行っちまったって?」
「全く、世話の焼ける奴等だぜ」
突入部隊から伝令を頼まれた兵士に6人の事を聞かされ、3人も他のメンバーに知らせようとしたが
戦いでそれ所では無く、仕方無しにここに3人だけでやって来たのであった。
リーダートリオも現役組と同じ様に、慎重に見張りを倒して縛り上げながら進んで行く。
本当は息の根を止めるのが1番良いのだが、素手だけでは余程当たり所が悪く無い限り致命傷にはならない。
その縛り上げた兵士の内の1人が地図を持っていたので、それを奪ってこの城の内部構造を確認。
「どうだ、淳……何か分かったか?」
「うーん、2階に1箇所何だか怪しい部屋があるっちゃあるんだけど、多分この辺りかな……
その魔導砲の部屋に入る為に必要なバリアの解除をする場所と、それから魔導砲の部屋は?」
淳が地図を指差したのを見て、他の2人も兵士から奪った地図を見て位置を確認する。
そこには丸い部屋が1つ……。
「いかにもって感じだけど、怪しすぎ無いかな?」
「そうだな……。でも、ここしか検討つかないから、とにかく行ってみるだけ行ってみようぜ」
「そうするか」
3人はそれぞれまた見張りを倒しながら進んで行くが、どこからか大量の足音が聞こえて来た。
「ん?」
「こ、これって…まさか……」
「……嫌な予感がしますね」
その令次の予感は的中し、3人が進んでいる通路の後ろからも前からも大量の兵士が走って来た。
「げーーっ!?」
「に、逃げるぞ!!」
「くっ!」
3人は脇目も振らず、側にあった階段を上へと上り始めた。
岸と兼山の2人は突入部隊と一緒に脱出を目指していたが、突入部隊に段々と遅れをとってしまい引き離されてしまう。
その事に気がついたのは周りの敵を片付けた時であった。
「あ、あれ? 皆は?」
「も、もしかして俺達置いて行かれた?」
「嘘だろマジかよ? と、とにかく僕達だけでも脱出しよう! 今まで通って来た所は
敵が居ない筈だから! そっちに行って出口を探そう!」
引き返して別の角を曲がり、2人は新たな兵士に見つからない様に通路を突き進んで行くが、突然角を曲がって来た
一般兵士よりもタチが悪い奴等にバッタリと会ってしまった。
「……!」
「あっ!?」
そう、セブルードとエヴォルである。逃走中、一旦兵士の波が落ち着いた所で岸から事情を全て聞かされた兼山は
この2人の事も知っている。
「侵入者はっけ〜ん!! 悪いけど、ここへの不法侵入はゼッザオでは重罪だぜ?」
「脱獄者も捕らえて、ゆっくりと拷問させてもらおうか」
楽しそうに笑う2人に、岸と兼山は怒りを露わにする。
「このクソガキが……。大人を舐めるとどうなるか、思い知らせてやるよ」
「ああ、そうだな。ガキだからって容赦はしないぜ。お前等を倒してこの城もぶっ潰してやる!!」
だがセブルードとエヴォルのコンビはお互いに目を見合わせて頷き、それぞれの剣を抜いた。
「そう来るか。なら……逃がす訳には行かないな。死んでもらうとしよう」
「ああ、そうだな」
しかし兼山と岸もこのままやられる訳には行かない。そこで2人はある作戦を思いついた。
人間の心理を利用した作戦である。
岸がセブルードとエヴォル、2人の間から通路の奥を見て「あれ?」と声を上げた。
間髪入れずに兼山も大きく手を振り「おお、お前ら!」と手を振る。
その声にセブルードとエヴォルの2人は後ろを振り向いてしまう。その一瞬の隙を突いてUターンし、兼山と岸は駆け出した。
「あ、くそっ!」
「追うぞ、セブルード!」
勿論そんな2人を見たセブルードとエヴォルも駆け出し、エウリア城の中での鬼ごっこが始まる事に。
「ちっきしょう……! 僕等って何でこんなについてないんだ!?」
「知るか! とにかくあいつらを振りきるぜ! 重い胸当てや肩当てを着けていればスピードも上がらない筈だ!」
「わかった!」
2人はとにかく全力疾走。捕まったら最後、殺されてしまう!それだけは絶対に嫌なので捕まらない様に、今は
とにかく全力であのいかれている2人から逃げるしか道は残されていないのであった。
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