Run to the Another World第187話


「まずは3国全てを武力戦争で降伏させ、そこから更に3カ国の外側に存在している残りの6カ国にも

戦争を順次仕掛ける。それに異世界から来た御前達が、あの武具の封印を解く鍵と言う事になるらしいな。

私の部下のスパイの兵士は優秀な者だ。この世界を征服した後、その異世界にも乗り込んで統一してやろう!!」

余りにも身勝手な言い分に、トリップ組3人の顔が歪む。

「バカかよお前。こんなちゃっちい武力で、僕等の世界に対抗できる訳無いだろ?」

岸の言葉に明もうんうんとうなずく。

「そーそー。俺等の世界甘く見過ぎ。……まぁその前に、御前等が俺達の世界に来る事は絶対無いよ。

御前等の野望は俺等が必ず潰すからな?」

「異世界人なめんなよ、国王さんよ!!」

その3人の言葉に、ハヴィスも顔を歪ませる。……が、すぐに真顔に戻ると1つ提案をする。

「そうか。それなら今ここで私を倒してみるが良い。真ん中の2色の髪の奴が1番言ってるからな」

「俺が? ああ良いよ。ぶっ潰してやっからよ!」

「それはとても楽しみだ。なら、少し私と遊ぼうではないか? 準備を始めろ!!」


そうしてハヴィスの指示により準備が整ったが、明らかにトリップ組3人に不利な状況だ。

「このやろぉ……イケメンだからって、何やっても許されるとか思うなよてめーらぁ!!」

「放せよ……ちきしょお!!」

明はセブルード、アルヴィン、バレード、リレクの4人に両手両足をそれぞれバラバラにロープで拘束され、

和人はラスフォンに、岸はエヴォルにそれぞれ縄で縛られて拘束されている。

「おい何だよこれ、全然公平じゃねーだろ!! こんな状態で戦える訳ねーだろ卑怯者!!」

その明の敵意剥き出しの言葉に、ハヴィスは首を横に振る。

「……やれやれ、口の聞き方が悪いな。そんな奴には仕置きをくれてやらねば……なぁっ!?」

セリフを言い切ると同時に、ハヴィスは明の顔を思いっきりぶん殴った。

「ぐわ!?」


たまらず明も反撃しようとするが、パンチが何かに引っかかって繰り出せない!

右腕を見ると、そこには明の右腕に繋げたロープで引っ張っているリレクの姿が。

「く……くそぉ!」

「まだまだ行くぞ?」

意地の悪い笑みを浮かべ、右、左、右と更にパンチを明の顔にハヴィスは叩き込む。

反撃しようにも部下の4人が明の体をがっちりと固定している為、反撃出来ずにやられてしまう明。

「ぐう! あがっ!」


「ちゃんと戦えよ! おい、てめぇ聞いてんのかよ、国王さんよ! 卑怯者! ふざけんな!」

しかしその和人のヤジを聞いていたラスフォンは、和人に全身全霊を込めて頭突きをお見舞いする。

「国王に向かってそれ程迄に罵声を飛ばすとは、よっぽど死にたいらしいな?」

「ぐっ……!」

顔面にモロにラスフォンの頭突きを食らい、鼻血を噴出した和人の意識は朦朧とする。

しかしそれでも和人は諦めない。

「あ、あんな奴……卑怯な事しか出来ない、臆病もんだ! 虫唾が走る!」

「貴様……ッ!!」

2度目はラスフォンに背中の矢筒で殴られ、和人はそのまま気絶した。


「和人!? くっ……放せよ!」

隣で倒れてしまった和人を見て、岸が駆け寄ろうとするがエヴォルにがっちりと腕を押さえ込まれる。

「フン、当然の報いだ」

「はぁ!? 報い? 和人は正当な事言っただけだ! 卑怯過ぎて吐き気がする! 何が国王だよ!

卑怯な事しねーと戦えない様な、ただのヘナチョコじゃねーか! ああ言う風にリンチまがいの行為しか出来ない、クソ野郎だよ!」

「……おい、ラスフォン」

「ああ」


ラスフォンがエヴォルの代わりに岸の体を固定し、エヴォルは岸の前に回りこんで両手で岸の首をギリギリと締め付ける。

「あが……うぐ……!!」

「国王は捨て子だった俺の命の恩人だ。言ってみれば父親も同然……侮辱するのなら、貴様を殺してやる」

酸素が満足に体内へ取り込まれず、岸の顔は段々蒼白になって行く。

エヴォルはニヤニヤといやらしい笑みを浮かべている。

「どうだ、苦しいだろう?」

「うぐ……げぇ……」

岸は舌を突き出し、何とか酸素を体内に取り入れようとする。


しかしそれ以上はラスフォンが許さなかった。

「待てエヴォル。国王はまだ殺すなと言っていただろう。こいつを今殺せば陛下の命に背く事になるぞ」

「……」

残念そうに手を岸の首から離したエヴォルだったが、怒りはまだ収まらない。

「そうか。なら、代わりに御前にはこうだな」

エヴォルがそう呟き、強烈な右のボディブローを何発も岸のみぞおちに打ち付ける。

岸は声にならないうめき声を上げ、そのまま気絶してしまった。それを見たエヴォルは鼻でため息をつく。

「フン、面白みの無い奴だ」

「本当だな。こいつも……そっちの和人って奴もな」

ラスフォンもそれに同意し、2人は岸と和人の身体を縄で縛り直した後に隅へ足で蹴り転がした。


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