Run to the Another World第185話
3人が連れて来られて着いた先は、大きな吹き抜けになっているエントランスであった。
そして拘束されたままの3人の目の前に銀の長髪の男が現れた。
「ようこそ霧の国ゼッザオへ。私はゼッザオ王国の国王、ハヴィス・ディレッドだ」
ハヴィスと名乗った男の後ろにはどちらもイケメンの黄緑の髪の男と、紫の髪の髪の男が並んでいる。
それから岸、明、和人の後ろには、3人と一緒に行動していたメンバーがそれぞれの国で出会った男達が立っている。
この状況を見た3人は、状況とこれ迄の経緯を理解した。
「やっと飲み込めたぜ、僕は……」
「ああ、俺もだ。なぁ和人!」
「バッチリ全部読めたぜ。なら、犯人が見つからないのも納得だ」
3人はお互いに目線を合わせて頷きあう。
「ファルスで起こった、僕等が目撃した飛竜を使った襲撃事件……」
「バーレンの襲撃事件も……」
「シュアの事件もだ。……それ等は全部、ここに居る俺等以外の仕業だろ!?」
その3人の発言を聞いたハヴィスの口から、嫌らしい笑い声が漏れて来た。
「クックックッ……その通りだ」
「やっぱりそうか。俺等をここにさらって来たのも、計画の内か?」
「ああ。戦っている奴等を降伏させる為の大切なエサだ。おい、後ろの奴等は自己紹介をしてやれ」
そのハヴィスの命令で、トリップ組の後ろに立つ6人がトリップ組とハヴィスの間に歩み出る。
まずはファルス帝国の襲撃事件の2人からだ。
「お初にお目にかかる。俺はバレード・ハイディス。と言っても、御前の仲間の変な格好の男と女に顔を見られていた様だな?」
「ああ。あの盾を盗んだのはお前だな?」
「そうだ。俺とこいつが盗んだ」
バレードにこいつと呼ばれた黒髪の青年が、今度は岸の前へと歩み出る。
「初めましてだね。俺はリレク・ジェディルートだ。魔術師をさせて貰っているよ。あんたの身体にも興味がある」
「気持ちわりーんだよ!!」
「おいおい、酷いなぁ。俺はただ実験に使わせて貰おうってだけだよ」
「あーうぜー!! どうして帝都を襲撃した!?」
「それは後で幾らでも話してやるさ。次はバーレンの2人だな」
次は明と一緒に行動していた、真由美と弘樹が面識がある2人の登場だ。
「久しぶりだな。と言っても御前とは初めましてか」
「……」
「だんまりか? 何だ、俺等が怖いのかよ?」
「別にそんな事ねーけど。でも、俺達をよくも襲撃してくれたな?」
その明の言葉にオレンジの髪の男は高笑いする。
「ハハハハハ!! 何とでも言えば良い!! 俺はアルヴィンだ」
「アルヴィンの相棒のラスフォンだ。全く、簡単に俺等に襲撃されるとは異世界人達も大した事ねぇな? ハッハハハハハッ!」
高笑いを浮かべるラスフォンを、明は鬼の様な形相で睨み付けていた。
「よし、俺等は終わりだ。最後はそっちだな」
笑い終わったラスフォンに促され、和人の前に若い2人組の男が歩み出る。
「俺はセブルードってもんだ」
「エヴォルだ」
「ああ……御前等か、アレイレルと博人に負けた奴等って?」
相手が何かしらのアクションを起こして来るだろうと踏んで、真偽を確かめる和人。
しかし予想に反し、エヴォルと名乗った金髪の青年は無表情のまま答える。
「何だ、俺等の事もその2人から聞いた様だな。後で御前も殺しておこう」
「殺す、殺すって…お前、頭大丈夫? 精神いかれてるんじゃねーの?」
「確かにそうかもな。周知の事実だが、俺は人を殺すのが好きだ。当然、貴様も殺すがな」
メチャクチャ低い声で顎を掴まれながら、和人は殺害予告をされたのであった。
「よし、ならお前らも自己紹介をしてやれ。冥土の土産にな」
「「はっ!!」」
ハヴィスの後ろに控えていたイケメン2人組が今度は前に出て来た。
まずは紫髪の男から自己紹介。
「エイシルドだ。ゼッザオの将軍をさせてもらっている。異世界の奴等には非常に興味がある。まぁ、よろしく」
続いて黄緑色の、片目を隠した男も自己紹介。
「ベリルだ。ゼッザオの宰相をしている。ここに連れて来られた理由は薄々分かっていると思うがな」
そのベリルの発言を聞き、ハヴィスも口元に笑みを浮かべた。
自己紹介も終わり、トリップ組は口を開く。
「なぁ、どうせ僕達死ぬんだろ? 教えてくれよ。何で僕達をここにわざわざ拉致って来たのかをさ」
「そうだよ。俺等には教えてくれても良いだろ?」
「ああそうだな。殺される前に納得して死にたいもんだぜ!」
その3人の要望に、ハヴィスはにやりと笑って返答する。
「良いだろう。なら手短に話そうではないか。私達は「世界革命軍」と言う組織を運営している。
この世の中はもはや腐りきっている。1年前、飛竜を使って濃霧を飛び出し、ベリル、エイシルドと
共に私は世界を見て回った。だがその結果は! ファルスは戦争戦争で、争いを止めようともしない。
バーレンは自分勝手な皇帝、シュアはプライドの高い奴ばかりだ!各国に要望も送った。
戦争は止めろ、皇帝を改心させろ、プライドの高さをどうにかしろ、と。けど、薄々感じてはいたが
やはり聞き入れられなかった。そして私はこの10年で、この中央孤島に1からゼッザオ王国を建国した。
実質的なリーダーがこの孤島には居なかったからな。だから私が指導者となり、世界を1つに統一してやる!!」
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