Run to the Another World第18話
城を襲った謎の集団は帝国騎士団と警備隊によって全て駆逐されたが、主犯格と思われる
あの永治と和美が戦った2人の男に関しては、何とティハーンとカノレルが敗走すると言う結果で
取り逃がしてしまった。その2人は地下の宝物庫迄その男達を追いかけて行ったのだが、
宝物庫で永治と和美の時の様に同じくバトルとなった。
しかしティハーンは弓を大男の鉄糸で絡め取られ、それに戸惑った一瞬の隙を突いてローブの
男に風魔法のウィンドカッターを直撃させられてしまい全身を細かく切り裂かれて敗北。
残ったカノレルは斧を使ったスピード戦法で向かって行ったが、ローブの男がカノレルを
引き付けている隙に、大男が何と片手1本でカノレルを持ち上げて宝物庫の壁に投げつけ、
そこからタックルをかまされて蹴りを何発も入れられ、意識を失って敗北したと言う話だった。
そして……。
「あの盾も奪われた様です……申し訳御座いません!」
深々と頭を下げるティハーンとカノレルに、メンバーは色々な顔つきになる。
悔しさ、怒り、悲しみ、驚愕、哀れみ等……。
「なら、さっさと包囲網を敷いてその2人の行方を追ってくれ!」
ハリドが刑事らしい一言を騎士団に言うが、それを見ていたリアンとラシェンが更に驚愕の事実を口にした。
「それは……恐らく無理かと思います」
「は?」
「奴等は飛竜使いでもあった様で、部下の報告によると奴等は玄関からは逃げられないと分かったのか、
一旦上の階に戻って窓から逃げ出しそのまま飛竜を呼び寄せてその飛竜で飛んで行ってしまったんです。
勿論逃げた方向に騎士団や警備隊を派遣してはいますが……もうすぐ日が暮れる。行方の特定は難しそうです」
「……そんな」
ハリドが頭に手を当てて明らかにがっくりとしたリアクションを取る。
「俺達の生活ぶち壊されて……更にその手掛かりも変な奴に取られるなんて……」
令次も手荒れと日焼け防止の白い皮手袋をはめた手をギリギリと握りしめた。
だがこのままここで項垂れて居たってしょうがない。そこで連と岸が口を開く。
「そいつ等の顔を知っているのは永治と和美と洋子と流斗だけです。似顔絵とかを描かせたらいかがでしょう?」
「本当は僕達が騒動の発端だからそいつ等を追いたいけど……」
しかしそれに対して哲と周二が反論。
「御前等大事な事忘れてねーか? まだ俺達は伝説のドラゴンに会わなきゃいけないんだぞ」
「それにさっきの奴等が何処に行ったかも分からないから、時間は掛かるだろう」
更にグレイルが止めの一言を。
「……俺達がやらなければならないのは、あの盾を運ぶだけじゃないからな」
シーンと静まり返る会議室。と、ここで黙っていたセヴィストが口を開いた。
「その声の話は到底信じられないし、もしそれを全て実行して戻ったとしても帰る事が出来ると言う保障もあるまい。
それに、この世界の事は俺達の方が良く知っているからな。ここに居る限りは安心だ」
そしてカルソンも事件についての提案を。
「他の国々にも連絡を取って、目撃情報が無いか調べてみます。皆さんは一先ず部屋に戻って身体をお休め下さい」
カルソンのその一言で、メンバーは全員一旦部屋に戻る事になった。