Run to the Another World第178話


連も他のメンバー達と散り散りになってしまった為に、どうにかしてここから早く脱出しなければ

いけないと思っていた。

(くそー、踏んだり蹴ったりだぜ!)

それでも今は逃げる為に、物陰に隠れて何とか脱出するチャンスを窺っているのであった。

(まだ騒がしい……でも早めにここから出ないと!)

当然連もこんな状況であるから気を抜く事は出来ない訳であり、今も絶賛修羅場中だ。

(そろそろかな……)

辺りを用心深く窺ってから、隠密行動をモットーにしてグラルバルトとの合流を目指す。

(グラルバルトの奴、何処行ったんだ?)


連は首をかしげつつも、それなら自分で遺跡の外へ脱出してやると思い何とか

遺跡の入り口を目指す。だが、そんな思考を巡らせた時にふと重要な事に気がついた。

(あれ、そう言えばこう言う時って入り口とかが閉鎖されたりするのか……? いや、

するだろ! だってこう言った非常事態で、しかもまだ敵が遺跡の中に居るとなれば決して

外に出さない様にまず入り口を固める筈だぜ!)

ファンタジーやRPG好きが高じてそうした中世の戦術面も少しだけ勉強した事のある連は、

こんな所でその知識が役に立つとは思っても見なかったので苦笑を思わずこぼしつつ移動して行く。

(はは、ちょっとだけファンタジーの知識が役に立ったな……)

だけどもそんな苦笑いをこぼす連の逃走劇は、思わぬ人物達の登場によって行く手を遮られる事に

なってしまうのであった!!


「見つけたぞ!!」

「おっ!?」

目の前から1人、オレンジの髪の毛の剣士がロングソードを片手に走って来た。連はそれを見て

咄嗟に方向転換してダッシュする。しかしその反対方向からは背が余り高くない金髪の男と、

紫の髪の毛の剣士が挟み撃ちにする形で走って来る。

「くっ……そ!」

通路の前と後ろを挟み撃ちにされ、咄嗟に連は横の通路に逃げ込んで一目散にその通路を走り出す。

通路は結構狭い場所で、何処に通じているかは分からないがそれでも走るしか無かった。このまま

入り口の近くに出られる可能性もあるのでは無いかと思いつつ……。


必死にダッシュしつつ逃げて行く連だったが、辿り着いた先は何とホールになっている行き止まりの部屋だった。

(くそ……)

行き止まりに辿り着いてしまった為に連は慌てて引き返そうとするが、周りを見渡してみてもそこには

今自分が逃げて来た通路の1つしか無く、他にも脱出出来そうな所も無かった。そしてあたふた

している所にとうとう3人が追いついて来てしまったのである。

後ろからはまず紫の髪の毛の剣士が嬉しそうな声を響かせる。

「さぁさぁ、とうとう追い詰めたぜ!!」

「僕達から逃げ切ろうなんて考えは甘いなぁ!!」

「さて、騎士団の詰め所……いえ、城で調べたいと思いますので僕等と一緒に城迄来て頂きましょうか?」

最後にオレンジ頭の剣士にそう言われ、このままでは連は有無を言わさずに城に連れて行かれてしまう。


「…………」

連は黙ったまま、3人に向かって静かに空手の構えを取った。

「素手で俺達とやるつもりかよ?」

「身の程知らずな」

「大人しくしていれば危害は加えませんよ?」

だがそんな3人の言葉にも連は構えを解かないので、オレンジ頭の剣士がはぁ……とため息を吐いた。

「……仕方ありませんね。強行手段です」

そう言いつつオレンジ頭の剣士が腰のロングソードの柄に手をかけつつ連に向かって1歩踏み出すが、

それを紫頭の剣士が右手で彼の左肩を掴んで止める。

「待てマルニス、ここは俺が」

「……分かった、ならブラインに任せる」


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