Run to the Another World第175話


「ぶぐふぉ!!」

派手に後ろへ転がる陽介に弓使いは攻撃の手を休めない。

立ち上がりかけた彼にまた連続パンチを繰り出し、胸へのパンチで

陽介が怯んだ所で彼の髪の毛を掴んで顔面に右のパンチ。

その後もパンチを繰り出し続けるが、ここで陽介は柔らかい身体を利用して

自分の頭の高さを超えた打点で弓使いの側頭部にキックを入れる。

「ぐっぁ!」

怯んだ弓使いに連続でパンチ、続いて裏拳、更に連続回し蹴りと

繰り出し、後ろによろけた所でさっきのお返しにドロップキック。


これにより弓使いも後ろへ転がるが、立ち上がった彼は陽介にタックルをかます。

「うおおおお!?」

タックルから抱き抱えられた陽介は彼の背中に肘を何発も落とすが、弓使いの

服の下に着込まれている鎧がそのエルボーのダメージを軽減する。そこから今度は

そのまま全力を振り絞った弓使いに持ち上げられ、背中から地面に叩きつけられる陽介。

「ぐう、う……」

何とか起き上がったが、今度は岩壁に押し付けられて首を締め上げられる。

「うぐう……」

このままではまずいと判断し、もう1度さっきと同じ様に打点の高さが特徴的な

スーパーハイキックを今度は3発連続で弓使いのアゴ目掛けて入れる。


「がぁあ!?」

人体の急所を3回も蹴り上げられ、思わずよろける弓使いに逆にヘッドロックをかまして

首を締め上げる陽介。しかしそんな陽介の身体を締め上げられたまま足を掴んで

弓使いは持ち上げ、地面に向かって叩き付けてやる。

「うぐへ!」

また地面へと転がる陽介だったが、近づいて来た弓使いの足に自分の足を絡めて派手に転ばせる。

「ぐお!」

こうして何回もポジションが入れ替わっているが、今度は素早く立ち上がった陽介が弓使いに走り寄る。

それを弓使いはキックで迎え撃とうと思ったが、その弓使いのキックを陽介はかわしつつジャンプして、

弓使いに背中を向けた状態で思いっ切り後ろ蹴りを繰り出して彼を岩壁に顔面から激突させた。

結果として陽介は弓使いを失神させてしまう事に成功したのであった。

「や、やっ、た……?」

うつ伏せで反応が無くなった弓使いを見下ろし、陽介は胸を撫で下ろした。


その他のメンバーも何とか謎の集団を退けたかと思いきや、またもやグラルバルトが何かを

したのだろうか……まだ立っていた謎の集団達がさっきのグレトルと一緒のリアクションを取り始める。

まるで何かが目に入ってもだえている様なリアクションだ。

『今だ、急げっ!!』

グラルバルトの声に従って6人の異世界人は素早くグラルバルトの背中に乗り、もだえ苦しむ

謎の集団を眼下に見下ろし大空へと飛び立つ。

その時、丁度別荘から出て来たグレトルもそのドラゴンと異世界人達の姿を見たが当然捕まえられる

距離では無い。

(まずい……このままだと……)

グレトルはギリッと歯軋りをし、謎の集団を放っておいて一目散に自分の愛馬の元へと駆け出した。


そして異世界人達は、この世界の人間達のあの不可解なリアクションについてグラルバルトに

前の自分達の身に起きた不可解なあの武器関連の現象の体験談を交えて聞いてみた。

「魔導?」

『そうだったんだが……御前達には通じないのか?』

グレトルや謎の集団のあの不可解なリアクションは、グラルバルトが砂嵐の魔導を起こして

その砂嵐から目や顔を守る為にガードしていたかららしい。しかし異世界人の6人には

全くそんな砂嵐が起こったと言う感覚が無かった。

『一体どう言う事なんだろうな。御前達に起こったと言う、武器や防具に触るとその光と音と

痛みが起こると言う現象と関連があるかはどうかは分からないが、少なくとも普通の現象では

無いな。私も飛びながらしばらく考えてみる。大体5時間位でもう1つの別荘に着く予定だから

しばらく休んでいろ』

そう言ったグラルバルトと共に、6人はこのドラゴンのもう1つの別荘であるウェローソス遺跡に向かうのであった。


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