Run to the Another World第174話


「俺達より先客が居たとは……」

6人とドラゴンの目の前、別荘の前にある広場に集合していたのは金髪の弓を

持っている黒ずくめの見知らぬ男が率いている、これまた黒ずくめの謎の軍勢だった。

「なっ、何だよ御前等?」

陽介が意味深な事を呟いた金髪の男に問いかけるが、次の瞬間弓使いは

信じられない事を言い出した。

「それは……どうやらここの秘宝らしいな。悪いがそれは俺達が頂く。覚悟しろっ!!」

「うおわっ!?」

バラリーが持っている指輪を見て、弓使いはいきなり矢を放って来たのでそれを

ギリギリでバラリーは避ける。


そしてそれとほぼ同時に、弓使いの部下達であろう同じく黒ずくめで武装した男女が

武器を手に取って襲い掛かって来た為に、止むを得ずに応戦する事になってしまった。

グラルバルトは先程の不可解な現象を起こす前に襲われてしまって現象を起こす暇が無さそうなので、

こちらも乱戦になってしまう破目に。

「くっそ、何でここまで来てこれなんだ!!」

苦々しくぼやきながら、浩夜は襲い掛かって来る集団に対してコマンドサンボと

ムエタイと総合格闘技のテクニックで応戦。

「早くしないとさっきの奴もやって来るぜ……!!」

ディールも同じ気持ちで、今まで習って来た全ての武術のテクニックで応戦して行く。


そしてそのディールの徒手格闘の弟子である陽介は、フリーランニングのアクロバティックな技を

駆使して謎の軍勢と戦っていたが、そんな彼の足元に1本の矢が突き刺さった。

「おっ!?」

矢が飛んで来た方向を見てみると、そこには広場のそばに岩壁の上から弓を構えて

異世界人達を的確に狙うさっきの金髪の若い弓使いの姿があるでは無いか。

(くっそ!)

岩壁はそんなに高くも無いので、陽介は騎士団員をかわして

集団戦から一旦抜けて、地面に落ちていた石を拾って岩壁の

裏へと回り込んでからフリーランニングの要領で思いっ切りジャンプ。


そのジャンプの頂点で一瞬動きが止まるので、そのタイミングで弓使いに向かって石を投げつける。

「あだっ!!」

後頭部に石がヒットしたが弓使いは全然平気な様子だ。実際の所、陽介が投げた石は全然

大きくも無かったのでダメージも全然だったが、いきなりの後ろからの攻撃に弓使いは岩壁の下を覗き込む。

そしてその覗き込んだ瞬間に、陽介が彼の背中から垂れているマントを

引っ掴んで下へと弓使いを引き摺り下ろした。

「うおおおっ!?」

弓使いはマントを掴まれ、更に高低差も利用されて岩壁の下へと引き摺り下ろされた。

「背後から奇襲とはな……」

「弓で狙ってるあんたに言われたくは無い!」

立ち上がった弓使いにハイキックを2発、3発と連続で陽介はかますが、それをしっかりと

ガードする弓使い。弓は邪魔になるので背中に戻し、素手で勝負する。


近距離だと弓は全く役に立たないので、何とかして陽介から離れたいと思うが後ろは岩壁なので

無理だ。陽介は陽介でバチバチとパンチを繰り出したりキックを当てたりしているが、余り効いて無さそうなので

内心でショックを受ける。

「はっぁああ!」

気合を入れて再び殴りかかる陽介だが、弓使いもここから反撃。なかなか強力なパンチを、陽介のパンチを

するっとかわしてから繰り出す。

「うお、おわ!?」

そのパンチを陽介は必死にガードするが、このままガードし続けていても埒が明かないのは目に見えている。

だからパンチが途切れた瞬間、ジャンプしてそのまま回し蹴りを繰り出して弓使いの胸に左足を当てる。

「ぐっ……やるな!」

胸を1発叩いて弓使いはそのキックを賞賛し、自分もパンチをまた繰り出して行きそのパンチによって

陽介がよろけた所で、今度は助走をつけてから思いっ切りドロップキックを陽介にぶち当てた。


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